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がんの治療が一段落しても、不安が消えるとは限らない。むしろ、経過観察に入ってから再発や転移への不安を抱える人もいる。再発・転移が起こる仕組みと、その後の治療について見ていく。※本稿は、静岡県立静岡がんセンター名誉総長の山口 建監修『がんになったとき知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。
「ふと転移の不安が頭をよぎる」
術後5年経ったがん患者のいま
《2021年に胃がんの診断を受けた隆一さん(仮名・61歳)は、入院後は、「幽門側胃切除」によって胃の3分の2を切除、リンパ節への転移はなかった。
検査の段階ではステージ2と言われていたが、術後の結果はステージ1bの胃がんだった。手術直後は痛みに悩まされた。強い鎮痛薬で痛みを抑え、3日間は絶食、その後、スープやゼリー、やわらかく煮た魚などで小さくなった胃に慣れるように、献立が組まれた。順調に経過して術後1週間で退院。退院翌日には、応援しているプロ野球チームの野球観戦に出かけた。
「チケットを取ってあったから」という理由だが、いま思えば、早く日常生活に戻りたい気持ちもあったのかもしれないという。
最近は、がんになったことを意識しない日も増えた。「どこかでがんを認めたくない気持ちがあるのかもしれない」というが、5年が経ち、気持ちに変化はあったのだろうか。
「日常生活は普通にできています。しかし、5年経ったからといって不安がなくなったわけではありません。喉がつまったり咳が続いたりすると、転移したのでは、と心配です」。
時間が経てば体調は次第にもとにもどる。しかし再発の不安はなくならない。がんと診断されたときの気持ちと、きっちり折り合いはつかないけれど、時間をかけて、身体とのちょうどよい距離感を見つけたのかもしれない。》







