公園のベンチで話をする2人の女性写真はイメージです Photo:PIXTA

ひとり暮らしでがんになったとき、身近に家族がいなければ、誰を頼ればいいのか。59歳で乳がんと診断された女性を支えたのは、友人と遠方に住む妹だった。本人の体験から、離れて暮らす家族や友人にできる支え方を考える。※本稿は、静岡県立静岡がんセンター名誉総長の山口 建監修『がんになったとき知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

「ひとりだったらよくないことを考えた」
がんの手術を振り返る女性の声

《東京都内でひとり暮らしをしている京子さん(仮名・59歳)に乳がんが見つかったのは、2025年2月のこと。詳しい検査の結果、ステージ1の乳がんと診断された。

 その時点で乳がんは1センチくらいの大きさになっていた。ショックを隠せない京子さんに医師は、「1センチは大きながんじゃないよ」と、さらりと言った。京子さんはその言葉に安心して、すこし前向きになれた。

 がんの診断から治療という人生の一大事を支えてくれたのは、友人と、離れて住む妹だった。友人は、検査の結果を聞き、治療方針を決める大切なときに同席した。京子さんが動揺して大切なことを聞きもらさないよう、質問ができるように寄り添ってくれた。遠方に住む妹は、ひとり暮らしの京子さんを支えるため、入院前後を含めて1週間、京子さん宅に泊まり込んで、料理や洗濯を担った。暮らしを助けてもらったことと、心細いときにひとりにならずにすんだことがありがたかった。

「あのときひとりだったら、きっとよくないことばかり考えてしまった」と京子さんは振り返る。

 京子さんは、乳がんの部分切除術を受けたのち、週5回、計16回にわたる放射線治療を受け、現在はホルモン薬を飲む治療を続けている。「手術後2日間くらいは痛みがあったけれど、痛み止めで抑えていました」と、治療に伴う痛みやつらさはあまりなかったと話してくれた。

 通院して受けた放射線治療による副作用もなかった。治療のない週末は、買い物をしたり、落語を聞きにいったりして、気分転換をすることもできた。

 周囲の助けやアドバイスを素直に受け取り、そのとき自分にできることを淡々とこなす。京子さんの穏やかな性格と、普段から耕してきた人間関係が、いまの京子さんを支えている。》