「これを言ったらハラスメントになるのでは…」「部下から嫌われたくない…」。ハラスメントに怯え、部下に仕事を頼む際に「お伺い」を立てる50代管理職が急増しています。しかし、その態度は部下に見透かされ、かえってバカにされる惨めな結果を招きます。人は何によって動くのか。組織における自分の「位置」を理解していない上司は、責任を果たせなくなります。この記事では、書籍『リーダーの仮面』のエッセンスをもとに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

50代「ハラスメントが怖くて指示が出せない上司」の惨めな末路Photo: Adobe Stock

お伺いを立てる「お願いマネジメント」

 50代の中間管理職が職場において最もやってしまいがちな、間違った指示出しがあります。

「悪いんだけど、この仕事やってもらってもいいかな?」
「もし時間があったらで良いので、手伝ってくれると助かるよ」

 このように、謙虚で紳士的な態度を装いながら、部下に仕事を依頼する光景です。

 本人は「威圧感を与えない優しい指示」のつもりかもしれません。

 しかし、これは指示出しの責任から逃げているだけの「最悪なマネジメント」です。

 部下に対して対等どころか、お願いする下位のポジションに自ら降りてしまっているからです。

リーダーとしての「位置」が理解できたら、次は部下の位置についてです。
「この仕事はAさんに任せた。契約に結びつけてください」
「来週の火曜の15時までに資料をまとめておいてください」
と、1つ1つの指示を言い切るようにするのです。
お伺いを立てるようなコミュニケーションは、責任の所在を曖昧にし、位置を誤解させます。
――『リーダーの仮面』より

「お願い」をした瞬間に責任がボヤける

「お願い」という言い方で仕事を頼むと、仕事の責任の所在が曖昧になります。

 部下がその仕事で失敗したり、期限に遅れたりしたとき、部下はこう言い訳ができてしまうからです。

「上司から『手伝える範囲でいい』とお願いされただけだから、私の本気の業務ではありません」

 上司が「言い切り」で指示を出さないため、実行する部下の側にも「絶対に達成する」という緊張感が生まれません。

 お伺いを立てる上司は、部下から「指示も出せない気のいいおじさん」と見下され、管理職としての権威を完全に失っていきます。

「言い切り」で任せる覚悟

 50代上司がハラスメントの恐怖を克服する方法は、感情的な説教をやめ、淡々と「言い切り」で仕事を与えることです。

「この件は、Bさんに任せました。金曜の17時までに成果物を提出してください」

 主語を「私」にし、責任を持って期限と目標を言い切ります。

 指示を出すことは上司の正当な役割であり、そこに罪悪感を持つ必要は一切ありません。

 リーダーの仮面をかぶり、ピラミッド組織における自分の「位置」を堂々と全うすること。

 毅然とした背中を見せることが、50代管理職の誇りを守り、部下を一人前に育てるのです。