これが通用するのであれば、「反則金のお支払いは控えさせていただきます」も成立してしまいかねない。
今後、人工知能によっていろいろな言葉が表面的にきれいに整うようになると、最後はこのような人間の感覚のズレばかりが、目立ってしまうことになりかねない。
そもそも、「何が問題の核か」が分かっていれば、問題を解いたり、きれいな表現に整えたりすることは人工知能がやってくれるようになる。
そこから先は、解決内容を他者に伝えて新しいプランを前進させるコミュニケーションがポイントとなる。その伝え方、あるいはその内容の準備をしくじると、コミュニケーションの大失敗から俗に言う「炎上」で、非難が集中する状態となる。
説明責任は
「丁寧に長く説明すること」ではない
説明責任を果たすということは、説明会を何度も繰り返し開くことではないし、長時間ぶっ続けで会見を行うことでもない。説明責任の内容は、その元となった「アカウンタビリティー」という言葉を見れば分かる。「会計帳簿で数字をカウントする」に通ずる内容である。
『日本人全員が佐藤さんになる日』(吉田 浩、朝日新聞出版)
企業の決算書類で見るように、アカウントの条件は、縦の合計と横の合計とがきちんと矛盾なく合っており、投資家が納得できるような情報の提供と説明がなされていることである。そのように、「辻(縫い目が十文字に交差するところ)」と「褄(着物の裾の左右の両端部分)」が合う、まさに辻褄が合った説明をして初めて、説明責任が果たされたことになる。
つまり「丁寧な説明」ということは、長々と弁解をしたり、論点をずらしたり、詭弁を弄してその場をすり抜けることではない。説明責任が果たされないと、のちのちまで鎮火しないのは、火種が消えていないからである。
問題の核心は何か。そこを適切に表現し、伝えるのだという基本方針が分かっている人材ならば、人工知能を使わなくとも立派なコミュニケーションができる。多少ぎこちなくて口下手でも、聴衆は腑に落ちてスッキリ納得してくれるだろう。







