警察官から事情を聞かれる女性写真はイメージです Photo:PIXTA

「させていただく」という言葉は便利だが、使い方を間違えている人も多い。人口減少社会を研究する経済学者が、敬語の違和感から、相手に伝わる説明の条件を考える。※本稿は、吉田 浩『日本人全員が佐藤さんになる日』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。

主語がなくても敬語を見れば
動作の主体が分かる

 日本語には主語のない文章が多いが、その代わり、語尾の敬語表現を見れば動作の主体がさりげなく分かるという特徴がある。「参ります」の場合は動作の主体は話し手の自分であり、「お越しになる」の場合は相手が主体、また話の中に登場する目上の人が動作の主体であることが自然と分かる。

 この敬語の使い方は誰かが決めているわけではなく、長い歴史が磨いてきたもので、文化庁からは「敬語の指針」が公表されている。それによると、かつて敬語は「尊敬語」、「謙譲語」、「丁寧語」の3種類とされてきたが、現在では何と「尊敬語」、「謙譲語I」、「謙譲語II」、「丁寧語」、「美化語」の5種類になっている(図表7-2)。

図表7-2 敬語の種類同書より転載 拡大画像表示