このAEGはスポーツチームのオーナーやプロモーターによるアリーナ所有という今のトレンドを生み出した嚆矢と言える存在だ。伝統的に、アリーナのような施設の保有者と、その施設を活用してイベントなどを企画・運営するプロモーターは分かれていた。施設を持つ事業者は施設をプロモーターに貸し出す貸し館業、一方のプロモーターはイベントの企画や集客など興行リスクを負うという役割分担である。
この構造は今も続いているが、1990年代後半ごろから、AEGのように施設を所有し運営するプロモーターが登場し始めた。法人契約のスイートルームやネーミングライツの販売など、施設をマネタイズする手法が多様化する中、自分で施設を持つほうが儲かると考えるプロモーターが増えたのだ。その筆頭が、1999年10月、ロサンゼルスにステイプルズ・センター(現クリプト・ドットコム・アリーナ)を開業したAEGである。
AEGはスポーツチームやアーティストとのネットワークを持つ世界的なプロモーターであり、IGアリーナにとって、そのネットワークは興行という面から見れば極めて大きい。同時に、アリーナ経営で積み重ねたノウハウもIGアリーナにとっては貴重な資産だ。実際に、天井高や可動席、スイートルームや飲食店などの大展開ではAEGの知見が随所に活かされている。
NTTドコモは複数の
アリーナ運営に参画している
こうした動きはAEGだけではない。世界最大級のライブ・エンターテインメント企業である米ライブネーションも各地に劇場やコンサートホール、ライブハウスなどを所有しており、AEGの後を追うように日本でもアリーナ開発に乗り出している。この流れを踏まえれば、通信事業者であるNTTドコモがIGアリーナの運営権を取得しようとした狙いも理解できるはずだ。
実は、NTTドコモがアリーナに参画するのはIGアリーナが初めてではない。最初に参画したのは、2019年12月に竣工した東京有明アリーナである。東京有明アリーナは東京オリンピック・パラリンピックの閉幕後、コンセッションによって民間運営に切り替わることになっていた。その運営企業に構成企業の1社として名を連ねたのが始まりだ。







