その理由は、ドコモが持つ技術をわかりやすく見せるため。NTTドコモでアリーナビジネスの旗を振る執行役員の櫻井稚子さんによれば、ドコモは5Gや6G、ICT(情報通信技術)、XR(クロスリアリティ)など通信・ネットワークの分野でさまざまな先端技術を有している。その中には、アリーナでの新しい観戦体験などにつながるものも数多い。そこで、そうした先端技術を実装し、実際に体験してもらう場としてアリーナを活用しようと考えたわけだ。

「アリーナについては、技術をわかりやすく見せる場、いわばショーケースと考えていました」。

 そう櫻井さんは振り返る。

 その後、第2弾として、2025年4月にオープンした神戸のGLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)にも参画している。

アリーナは1万人超の来場者を
ドコモ経済圏につなぐ

 もっとも、構成企業としてアリーナ経営に加わる中で、櫻井さんは技術のショーケースを超えた可能性を感じ始めた。1億人を超える「dアカウント」の会員基盤との連携である。NTTドコモは法人事業やスマートライフ事業を成長分野と位置づけており、2025年度には収益比率で50%以上を目指すという中期目標を掲げていた。

 法人事業は5GやIoT、スマートシティといった社会・産業の構造変革や地域社会に向けたDX支援、スマートライフ事業は金融・決済や映像・エンタメ、電力、メディカルなどコンシューマー向けサービスによる“ドコモ経済圏”の構築である。

 その中でも、櫻井さんが率いるエンターテインメントプラットフォーム部は、金融・決済サービスと並ぶスマートライフ事業におけるマネタイズの核。顧客との接点を増やし、ドコモ経済圏を広げていくには、「Lemino」のような映像配信サービスや書籍、音楽などエンタメコンテンツを充実させることが一番だろう。

 実はドコモは、自社所属のアーティストやレーベルも持っている。コンテンツの観点から自社IP(知的財産)を育成し、映像配信やファンビジネス、ドコモの他のサービスとの連携を進めていくことが狙いだ。エンタメシフトのために外部からの人材登用も積極的に進めている。