また、個人的に面白いと思ったのは「ジブリの大倉庫」だ。倉庫と銘打っているように、実際に国内外のジブリの展覧会で使われた展示物がところせましと置かれており、さながら「見せる倉庫」と言ったところだ。しかも、大倉庫全体の建物はもともと温水プール棟で、温室のような巨大な建屋を壊さずそのまま活用している。天井から差す陽光と、ジブリ作品の色調がなんともいい味わいを醸し出している。

 ジブリパークの各エリアは有料チケット(事前予約制)が必要だが、公園内はチケットが不要な施設も多く、無料で雰囲気を味わうことも可能だ。

ジブリパークはなぜ東京近郊
ではなく愛知県にできたのか

 ジブリパークがオープンしたのは2022年11月だが、今では愛知県の観光になくてはならない存在になっている。株式会社ジブリパークは入場者数の詳細を明らかにしていないが、愛知県の推計では年間150万人に達する。また、無料エリアである愛・地球博記念公園全体の来場者は2024年に約294万人と、コロナ前のピークだった2015年(約199万人)の1.48倍になった。

 愛知県が2026年3月に発表した来園者調査(ジブリパーク来園者「アンケート調査」集計結果)によれば、国内客・訪日客ともに8割以上がジブリパークを目的に愛知県に来ており、県外居住の国内客の64.5%、訪日客の74.2%が県内に宿泊している。ジブリパークの存在が観光客の増加に寄与していることが見て取れる。

 それにしても、ジブリパークはなぜ愛知県に誕生したのだろうか。そもそもスタジオジブリが本拠を置くのは東京・小金井市で、三鷹の森ジブリ美術館があるのも東京・三鷹市だ。埼玉県の狭山丘陵が『となりのトトロ』の舞台のモデルの1つとなったように、ジブリでイメージするのは東京・武蔵野とその近郊である。

 実は、スタジオジブリと愛知県の縁は、2005年に開催された「愛・地球博(愛知万博)」まで遡る。21世紀最初の万博として開催された愛・地球博はそれまでの国威発揚型の万博とは異なり、理念提唱型の万博として知られている。現に「自然の叡智」をテーマに、自然との共生や環境配慮、市民参加を通して人類共通の課題解決を目指しており、そうしたパビリオンが数多くみられた。その愛・地球博で屈指の人気パビリオンとなったのが「サツキとメイの家」だ。