ジブリパーク「魔女の谷」エリアジブリパーク「魔女の谷」エリア Photo:JIJI

「なぜ東京じゃないの?」――。スタジオジブリの本拠地は東京なのに、世界的な人気を誇るジブリパークが誕生したのは愛知県だった。実はその背景には、2005年の愛・地球博で生まれた「サツキとメイの家」をめぐる、愛知県とジブリの意外な縁があった。そこからジブリパーク誕生までの舞台裏を追う。※本稿は、ジャーナリストの篠原 匡『愛知県は天下を取るがね』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

ジブリパークは作中描写のない
細部まで作り込まれている

 ジブリパークとは、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)内に作られたスタジオジブリの作品に関するテーマパーク。

 テーマパークと書いたが、東京ディズニーランド(TDL)や東京ディズニーシー(TDS)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のような、いわゆるテーマパークではない。誰でも入れる公園の中に一部有料のエリアが点在しており、アトラクションを楽しむというよりジブリの世界観に浸るといった趣だ。『となりのトトロ』の「サツキとメイの家」や『もののけ姫』の「タタラ場」、『魔女の宅急便』の「オキノ邸」など、ジブリ作品に登場した施設が公園の中に溶け込んでいる。

 ジブリパークにはジブリ作品の世界観が至るところで再現されており、それだけでもファンにとっては垂涎の的だが、際立っているのは細部に対するとことんなまでのこだわりだ。

 例えば、「魔女の谷」の「オキノ邸」は『魔女の宅急便』の主人公キキが魔女の修行に旅立つまで住んでいた家。作品では冒頭に少し登場するだけだが、母親のコキリが薬草を調合している部屋や魔女を研究している父親の書斎、キキの部屋などが精緻に再現されている。作品に登場しない部分や見えていない部分まで作り込んでいるのも特徴で、キキの部屋のクローゼットにはキキの洋服が、引き出しの中にはキキの私物が飾られている。もちろん、こうした持ち物は作品には登場しておらず、ジブリパークの制作指揮やデザイン監修を手がけた宮崎吾朗監督が想像して作り込んだという。