笑顔でペンを持つ女性写真はイメージです Photo:PIXTA

「長く働く人ほど、仕事ができる」は本当なのか。スウェーデンでは、16時半になるとオフィスががらがらになることも珍しくない。しかも、同じ8時間労働なのに、日本より早く仕事を終えている。なぜ彼らは、残業せずに成果を出せるのか。そこには「夕方に予定を入れる」という、意外な仕事術があった。※本稿は、翻訳家、作家、北欧社会ウェルビーイング研究家の久山葉子『スウェーデン人はなぜ朝の3時間で仕事が片づくのか』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

スウェーデンに移住してから
「残業ゼロ」になった日本人

 北欧諸国は残業をしないことでも有名だ。その現状も説明しておきたい。

 吉澤智哉さんは日本で日系の自動車メーカーでエンジニアとして、月に30時間残業していた。10年前に家族でスウェーデンに移住し、スウェーデンの自動車部品メーカーでやはりエンジニアとして働いてる。

 日本にいた頃と同じ業界の同じ職種だが、こちらに来てからは「1分も残業をしたことがない」と断言する。周りの同僚を見ていても、「仕事が一番大事」というスタンスではない。独身の人でも趣味とか恋人とか大事なものがあり、「仕事は仕事」と割り切っている。

 もちろん職場によっては繁忙期があって、どうしても残業しなければいけないこともある。しかし残業というのは気軽にしていいものではなく、基本的に上司の許可が必要だ。というのも、残業代が高い。終業以降2時間までは時給が1.5倍、それ以降は2倍になる。

 ただしオフィスワークの場合、最近では残業代をもらうよりも、長く働いた分、後日「早く帰る」あるいは「休みを取る」というように、「時間で清算」するのが一般的だ。

 経理としてこれまでスウェーデンで4社を経験してきたフリドルフ智子さんは、「そもそも残業せずに定時で上がる」という考え方をしていない人が多いと語る。「定時で上がる=定時までいないといけない」ではなく、「自分の仕事が終われば帰る」というスタンス。自分でやると決めた仕事が終わっていれば、定時になっていなくても堂々と帰れるのだ。

 IT系の川端哲郎さんは以前は東京支社、現在はスウェーデン支社と、まったく同じ多国籍企業で働いている。日本ではだいたい毎日20時頃まで残業していた。

 それが今や17時……どころか仕事の区切りがつけばそれより早くに退社する。特に子供が保育園の頃は16時半にはお迎えに行っていた。

 今まで時間外に働いたのは、夜遅くにサーバールームの冷房が故障して、温度が上がり、警報が鳴った時だけ。「決まった時間に帰れるからストレスがなくて、そのストレスに仕事のエネルギーをムダに取られることがない」と言う。安心感があるからこそ、仕事に集中できるのだそうだ。

「遅くまで働いたらミスも多くなる。1日の集中力は決まっていて、疲れてミスをしたらそのやり直しで悪循環になるだけ」と、“ノー残業”の効果を語る。

長い時間働いても
成果が出るとは限らない

 なんとも恥ずかしい身の上話をしよう。