面接で話をする女性と男性写真はイメージです Photo:PIXTA

「仕事より家族を優先する人は、出世競争で不利になる」――日本では、そんな考え方が根強いかもしれない。ところがスウェーデンでは、家族との時間を大切にすることが、むしろリーダーとしての評価につながることもある。実際、支社長の最終面接で「仕事にすべてを捧げる」と語るより、「家族との時間」をアピールした人物が選ばれた。なぜスウェーデンでは、仕事と私生活を両立する人が評価されるのか。※本稿は、翻訳家、作家、北欧社会ウェルビーイング研究家の久山葉子『スウェーデン人はなぜ朝の3時間で仕事が片づくのか』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

仕事よりもプライベートを
優先するスウェーデン人

 日本から来たばかりの人は、スウェーデン人の働き方を目の当たりにして驚くことが多い。その1人が机玲子さんだ。

 玲子さんは、東京では外資系の企業のPRとしてバリバリ働いてきた。仕事が好きで、プライベートはほぼ皆無なくらいに打ちこんでいたという。それが6年前、結婚を機にスウェーデンにやってきた。現在は日本の工芸作家やデザインをヨーロッパに紹介する活動のほか、企業のマーケティング・PR支援を行っている。

 そんな玲子さんは、スウェーデン人の“さっぱりした”働き方に何度も面食らった。

 クライアントに不動産で成功した40代の経営者がいる。日本で新しいビジネスを展開したいというので、マーケティングを手伝うことになった。カフェで打ち合わせをしていたら、15時になったとたんに「あ、もう2歳の娘のお迎えの時間だから」と、さっさと消えていった。

 60代のオーナー社長夫妻、息子は副社長という家族経営によるスウェーデンのある高級ブランド。玲子さんがそこのショールームで日本ブランドの照明の設置作業をしていたところ、定時になると社長が顔を出し、「僕たちもう帰るから……」と鍵を渡された。そして社長夫妻は何かに追われるように帰っていく。いったい何に追われているのだろうか。子供もお迎えが必要な年齢ではない(副社長だし!)。

 展示会での話。展示会が終了した翌日の昼過ぎ、玲子さんが協働する企業の26歳の男性社員がこう言った。「今週は遅くまでブースの設営をしていたので、今日はもう帰るね!社長にも言ってあるから」。今週ずっと展示会で遅かったから、今日は彼女と会わないといけないのだそうだ。

 玲子さんと同様に、「日本とはずいぶん違うんだな」と驚く方が多いのではないだろうか。

 成功した経営者なら、保育園のお迎えくらいシッターさんを雇えば?

 家族経営の会社の社長なら、少しぐらい残業すれば?

 若手なら、展示会の前後くらい連日残業すれば?

 という声が聞こえてきそうだ。

 しかし雇われの身の人も、経営者も、「仕事より大切なものがある」からこそ仕事を切り上げる。

 では「仕事より大切なもの」とは何だろうか。スウェーデン人は仕事以外の長い時間を何に使っているのだろうか。

面接で言わない方がいい
「NGワード」とは?

 スウェーデンでは家族との時間をしっかり持つことがビジネスでも重視される。それを改めて考えた出来事があった。