仕事を押しつけられたときの
“鉄板の返し”

 私が、仕事を押しつけられそうになったときに使いやすいと思っているのは、こんな伝え方です。

「今これを引き受けると、この案件に影響が出てしまいます」

 ポイントは、「やりたくありません」と自分の気持ちを伝えるのではなく、引き受けた場合に何が起きるのかを具体的に示すことです。

 たとえば、すでにAとBという二つの仕事を抱えているところに、新しくCという仕事を頼まれたとします。

 そこで「忙しいので無理です」とだけ言えば、相手には事情が見えません。しかし、「いまAとBを進めていて、これを引き受けるとAの納期に影響が出ます」と説明すれば、話は変わります。

 上司も、「ではAよりCを優先してほしい」「Aは別の人に任せよう」と判断できます。

 私は、こうして自分の“手の内”をきちんと見せることが大切だと思っています。

 そのうえで、できれば代替案も伝えてください。

「今日は難しいですが、明日の午前中ならできます」
「全部は難しいですが、ここまでならできます」
「作業そのものは難しいですが、最初の整理なら手伝えます」

 このように、「できない」で会話を終わらせず、「どこまでならできるのか」「いつならできるのか」を示すのです。

 すると、相手から見ても「協力する気がない」のではなく、「協力したいけれど、いまは物理的に難しいのだ」ということが分かります。

 反対に「それ、私の仕事じゃないですよね」などと言う必要はありません。誰がどの仕事を担当するかは、本来、組織の中で調整すべきことです。まずは自分が何を抱えていて、何ならできるのかを具体的に伝えるほうが、ずっと建設的です。

 そして、断ったあとに「ちょっとぐらいいいじゃない」「どうしてもお願い」と押されても、すぐに態度を変えないことも大切です。

「そうですよね。でも、今回は難しいです」

 このように、相手の気持ちは受け止めながらも、最初に伝えた内容を一貫して繰り返すのです。

 一度断ったのに、押されるたびに「じゃあ少しだけ……」と譲っていると、相手から見てもあなたの本当の意思が分からなくなります。何より、自分自身が苦しくなってしまいます。

 感じのいい人とは、何でも「はい」と言う人ではなく、相手を否定したり追い詰めたりせずに、自分の事情もきちんと伝えられる人です。

 仕事を押しつけられそうになったら、「無理です」と感情的に拒絶する前に、「今これを引き受けると、この案件に影響が出てしまいます」と伝えてみてください。

 そこからなら、お互いが納得できる調整の話を始められるはずです。

第3回記事<感じのいい人が「マウントを取る人」を黙らせる“魔法の一言”とは?>は、10月3日(土)14時00分に公開予定です。大野萌子氏をフォローすることで、取材記事(全3回)をメールでお送りすることができます。