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鉄道を走らせるために欠かせない「運転士」が足りない。各地で減便が相次ぐなか、人材確保のカギになるのかもしれないのが、「視力」の基準だ。一度は鉄道運転士の免許を取得した人でも、視力を理由に職を失うケースがある。人手不足が深刻化するいま、鉄道の安全を守りながら、どこまで「運転士になるための条件」を見直せるのか。制度の歴史と現場の実情から考える。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
「運転士が足りない」
鉄道で始まった異変
人口減少と少子化により、さまざまな業界で人手不足が顕在化している。運輸業界ではバスやタクシーの運転手不足が深刻で、都市部でさえ人手不足によるバスの減便、廃止が進んでいる。
この流れは鉄道業界にも波及している。国土交通省が2023年10月に行った調査によれば、全国172事業者中77事業者(45%)が、現行ダイヤに必要な運転士が不足していると回答。地域鉄道(ローカル鉄道)140事業者に絞ると、半分の70事業者に達することが分かった。
例えば、福井鉄道は2023年に運転士不足を理由に日中の急行列車を廃止(後に臨時急行列車を一部時間帯に設定)。JR四国も2024年に1日あたり17本の減便を行った。直近では、長崎電鉄が2026年2月に約14%減便するダイヤ改正を行った。
一方、熊本電鉄は本来9人必要な運転士が4人まで減少したとして、2025年2月に25%の減便に踏み切ったが、「平日限定運転士」という働き方改革により新たな人材確保に成功し、2026年5月に減便前のダイヤにほぼ回復した。
また、肥薩おれんじ鉄道も2025年6月から約30%の減便ダイヤを行っているが、新規採用した運転士候補10人の育成を進めており、2027年夏にダイヤを回復する見込みとしている。こうした成功例はあっても、多くの事業者が苦境に直面していることに変わりはなく、状況は今後さらに悪化する。







