2014年公開の『渇き。』(小松菜奈主演)に出演していた俳優のA子さんが、意に添わない露出を伴うシーンを撮影され、公開されたことを2022年に告発した。

 2025年1月に『時には懺悔を』の公開が告知されると、この件についての説明がないままであることに批判が噴出。公開延期が発表された。

 そして2026年2月、A子さんがnoteで中島監督から直接謝罪を受け、和解したことを報告した。これによって延期されていた公開が決まった。

『時には懺悔を』製作委員会は、『渇き。』撮影時についての調査を行い、A子さんもその調査に協力したという。また、調査結果についてもA子さんに報告されている。

 近年になり、映像作品の制作過程でのハラスメント問題が表面化している。問題があった監督や俳優の作品を公開できるのか、という問題に直面したときに、被害に遭った側が納得できるかたちでの「和解」として、このようなケースがあったことは今後のためにも知られるべきだろう。

『時には懺悔を』は、自分の過去と向き合うことの苦しさと、苦しさを乗り越えて前に進もうとする人たちの話でもある。そのような映画が、過去の問題を有耶無耶にすることなく、調査し、当事者との話し合いを行った末に公開されたことは、見る人を安心させる一つの要素であるだろう。

 興行収入だけを考えれば、もっと売りやすい題材はいくらでもある。この作品は20年前には映像化は無理と言われ、ようやく制作された後にも公開延期という問題に直面した。それでも過去の問題を放置せず、公開までたどり着いた。

 映画を作ることの難しさを誰より知っている同業者だからこそ、この作品が完成し、世に出たこと自体に惜しみない賛辞を送りたくなるのではないだろうか。