上手な鼻のかみ方とは?1977年に日本人研究者が発表、今年イグ・ノーベル賞にPhoto:PIXTA

 鼻風邪をひきやすい季節だ。今年のイグ・ノーベル賞に輝いた研究から、上手な鼻のかみ方をご紹介しよう。

 実はこの研究、およそ半世紀前の1977年に日本耳鼻咽喉科学会会報(第80巻第1号)へ掲載された「鼻のかみ方─擤鼻(こうび)の気体動力学的研究─」だ。

 当時、和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室に在籍していた故・海野徳二氏と共著者の矢島洋氏は、日本人と欧米人との鼻のかみ方の違いや、子供に鼻をかむ方法を教える大切さに着目。

 異物や分泌物(鼻汁)を排出するために「上手に鼻をかむとはどういうことなのであろうか」との問いを立て、鼻をかむときは片方を押さえた方がいいのか、両側同時にかむのは悪いのか、かむ強さや時間についてなど、実際に鼻から出る空気(呼気)の速度や量、鼻をかんだときの圧力が耳に与える影響を測定、科学的に検証したのだ。

 その結果わかったこと――、つまり上手な鼻のかみ方は、

1.両方一度にではなく、片方ずつかむこと。鼻の通りやすさには左右差があり、両側同時では通りが悪い方から十分に鼻汁を排出できない可能性があるからだ。

2.鼻をかむ前の吸気は口から軽く吸う程度でよい。鼻をかむぞ!と意気込んで胸いっぱいに息を吸い込む必要はない。むせてしまいます。

3.鼻をかむ強さは、鼻汁を排出するのに十分な流速を確保できる強さ。強く鼻をかみ過ぎると耳が痛くなることがあるが、本研究では鼻腔~外耳道内の圧力の変化はかなりのものになるとしつつ、鼻汁をきちんと排出できる強さが良いとしている。

4.あまり勢いよくかまず、ある程度の時間をかけて長くかむ。3とも関連するが、一気に圧力をかけて「フンッ!」とかむのではなく、「フーーーーン」くらいをイメージしよう。

 鼻汁を排出せずに長時間ためてしまうと副鼻腔炎や中耳炎を引き起こすことがある。適切に鼻をかむ習慣は、立派な病気予防になる。鼻を上手くかめず頻繁に中耳炎を起こすお子さんには「軽く息を吸ってから片方の鼻を押さえ、反対側の鼻からフーーーーンと長めに息を出す」イグ・ノーベル賞の鼻かみ所作を教えるとよさそうだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)