10月はピンクリボン月間、乳がん検査と治療の基礎知識を確認しておこうPhoto:PIXTA

 10月は乳がん啓発のピンクリボン月間だ。1980年代の米国に始まった本キャンペーンの大きな功績は、早期発見と早期治療の意識を社会に定着させ、検診や治療法の進化を加速したことだろう。

 たとえば、80年代当時の乳がん検診では問診+乳房の視触診が主流。羞恥心や乳がんへの意識の低さもあって、日本国内の受検率はわずか数%にすぎなかった。

 しかも視触診で見つかるがんは既に1~2cmに増殖し、早期発見とは言い難い。事実、視触診をやろうがやるまいが死亡率は変わらないという研究結果もでている。

 一方、2000年から集団検診に採用されたマンモグラフィー(MMG)は1cm未満の超早期がんを見つけることが可能だ。早期発見で死亡率をおよそ20%下げる効果も認められている。

 ただし50歳未満の女性では、分厚い乳腺組織が検査画像上でがん塊を隠してしまう「高濃度乳房」が多く、偽陽性や偽陰性が増加する傾向がある。

 このため一部の自治体は、MMGの弱点をカバーする超音波(エコー)検査をオプションで追加したり、高濃度乳房の女性には検査結果とともに、エコー検査という選択肢があることを紹介している。MMG検診を受ける際は自分でも注意しておくといい。

 治療の進化も目を見張るものがある。80年代半ばに登場した乳房温存術は、患者のニーズもあって急速に普及した。温存ができない場合も、治療と美容面に配慮した全摘+乳房再建術(保険収載)が標準になり、女性としてのボディーイメージや自分らしさを損なわない選択が可能になっている。

 薬物療法も選択肢が大幅に増えた。乳がんのタイプで薬剤を選択することがかない、副作用で無駄に苦しむケースが減った。再発・転移後の生存期間も新薬開発と並行して5年、10年を期待できるまでに進歩している。

 それでも現役世代の女性(30~64歳)の死因第1位は乳がんなのだ。国内の乳がん検診受検率はいまだに50%未満であり、せっかく進歩した医療技術の恩恵を活かせていない。

 街じゅうにピンクリボンが掲げられている間に、胸に手を当てて健康を守る方法を考えてみませんか。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)