西伊豆・堂ヶ島にて。クロスオーバーSUVは類型的なデザインになりがちだが、キックスはなかなかハンサムな仕立てという印象を抱いた Photo by Koichiro Imoto
経営不振の日産が新車攻勢に打って出ている。軽自動車「ルークス」、EV「リーフ」、小型クロスオーバー「キックス」、大型ワンボックス「エルグランド」のうち、筆者が最も「日産らしい」と納得したのは、意外にもキックスだった。長距離ロードテストで確かめたポイントを紹介しよう。【前編】(ジャーナリスト 井元康一郎)
こりゃ日産復活の兆しか…
「キックス」を大絶賛したいワケ
経営危機からの脱却とブランド再生を果たすべく、新商品攻勢に打って出ている日産自動車。日本では昨年夏の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」を皮切りに、同年にEV「リーフ」、今年は小型クロスオーバー「キックス」、そして大型ワンボックスサルーン「エルグランド」と、約1年の間に4車種をフルモデルチェンジした。
今の新車開発の工数は、ひと昔前と比べても飛躍的に膨張している。にもかかわらず1年で一気に4車種とは、年産300万台クラスのメーカーとしてはかなりのハイペースだ。
とはいえ、新商品を大量投入するだけでは意味がない。肝心なのは、その商品が競争力を持っているかどうかである。
競合と比較して性能がアップデートされているか、問われるのは当然だが、それだけでは不十分。日産ブランドを立て直す観点では、ユーザーが日産に期待するキャラクター、言い換えれば「日産らしさ」を持っていることが重要だ。
筆者は前述の4モデルのうち、エルグランドを除く3モデルの長距離ロードテストを行ってみた。印象的だったのは、いずれも以前に比べて日産の自我、意思を強く感じさせるものに仕上がっていたことだ。
それが最も色濃かったのは、クルマの出来としては平凡だった旧型から、劇的な進化を遂げたキックスだった。
第2世代キックスは日産らしさが濃密に感じられ、かつそれが独善的でなくプラス方向に出ている快作だと思った。これ1台をもって日産の業績が不死鳥の如く甦ることはないだろうが、こういうクルマ作りを続けていれば、ブランドに対するユーザーの共感を取り戻せるのではないかというのが率直な印象だった。
なぜ筆者がここまでベタ褒めするのかというと、ロードテストで実感したポイントがあるからだ。







