「これでこそ日産!」経営危機でもクルマ作りの魂は健在…キックスの〈小窓〉に感動したワケキックスのフロントビュー。サブコンパクト級のクロスオーバー中、屈指の快作と言える出来だった Photo by Koichiro Imoto

【後編】経営不振の日産が新車攻勢に打って出ている。軽自動車「ルークス」、EV「リーフ」、小型クロスオーバー「キックス」、大型ワンボックス「エルグランド」のうち、筆者が最も「日産らしい」と納得したのは、意外にもキックスだった。長距離ロードテストで確かめたポイントを紹介しよう。(ジャーナリスト 井元康一郎)

「ほう」と思わず感嘆…!
開発陣「凝り性」復活の痕跡とは

 前編記事『こりゃ日産復活の兆しか…新型リーフでもルークスでもなく「キックス」を大絶賛したいワケ』に引き続き、日産自動車「キックス」長距離ロードテストのインプレッションを紹介したい。

 ドライブ距離が延びるにつれ、走行時の動的質感から車体各部まで、開発陣が細部にわたって凝りに凝って作り込んだことが伝わってくる。そういう凝り性なところが1999年にルノー傘下入りするよりさらに前、イケイケだった時代の日産のDNAをロングパスで思い起こさせた。

 その一例は視界である。キックスの後ドアとバックドアの間のCピラーは、サイドガラスと連続した化粧板でブラックアウトされているように見える。それ自体は近年流行っているキャビンを薄く見せる技法なのだが、キックスのCピラーには、斜め後方を見渡すための小窓が仕込まれている。

 西伊豆の堂ヶ島の駐車場から目前の国道に右折で出ようとしていた時、斜め後方を振り返って「ほう……」と思わず感嘆の声を上げた。大きさにしてほんの十数センチ四方という小窓の配置が絶妙で、接近中の車両の姿がしっかりと見えたのだ。