ガーナ人のジョンソン・クワクは、2015年に留学生として来日した。その後日本で働いていたが、2018年に体調を崩し悪性の腎硬化症と診断された。働くことができなくなったクワクは解雇され、在留資格を喪失した。しかし、体調の悪化と経済的困窮のため出国できず、オーバーステイの状態となってしまった。この間、クワクは末期腎不全となった。

 2019年には病院に救急搬送され、人工透析を開始した。その後も体調は悪化の一途をたどり、複数回の手術を余儀なくされた。2020年9月、治療目的のための在留許可が認められたので日本に滞在することはできるようになったが、経済的理由で十分な通院治療を受けることができなかった。医師からは週3回透析をしなければ死んでしまうと言われていた。

 2021年夏、まわりのサポートのおかげでクワクは国民健康保険被保険者証の交付を受け、千葉県国民健康保険特定疾病療養受療証の交付を受けることができた。

「いきるけんり」を求めて
千葉市を相手に裁判を起こした

 クワクが生きていくためには、日本で治療を受け、生活の手段を確保するしかない。「いきるけんり」を求め、2021年、千葉市を相手に生活保護を認めるよう裁判を起こした。

 裁判での主張の法的構成は多岐にわたるが、その核となる主張は、生活保護の基礎となっている憲法25条1項の保障は外国人にも及ぶというものである。

 たしかに、生活保護法には生活保護を受けることができるのは「国民」だと書かれている。しかし、1990年までは政府は外国人にも生活保護を認めていた。

 実は、1981年に難民条約に加入するにあたって、それまで日本国民に限られていた国民年金などの国籍条項が撤廃されていた。このとき、生活保護法からも国籍条項の撤廃が検討されたのだったが、当時は法律の文言はともあれ外国人にも生活保護が認められていたため、敢えて法律を改正する必要もないとして法改正が見送られていたのである。ところが、1990年を境にして法の運用が変わり、定住者など一部を除いて、外国人には生活保護が認められなくなった。