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入院先に現れた“家族”が、医師に在留資格のための書類作成を迫る。医療機関の善意、行政窓口の混乱、そして高額療養費制度が重なったとき、公的医療保険は思わぬ形で利用されかねない。医療ツーリズムの現場に長く携わってきた医師が、その構図を明かす。※本稿は、東京大学医学部附属病院国際診療部副部長の山田秀臣『外国人患者:医療ツーリズムと日本の現実』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
医療ツーリズムの患者を
日本の在住患者に変身させるビジネス
ある病院の診察室で
看護師「先生、また先日入院した患者の家族という人が、診断書を至急書いてほしいと受付で待っています」
医師「わかりました。呼んでください」
自称患者家族「今入院している患者の観光ビザが切れてしまうので、出入国在留管理庁へ出す書類を書いてください。これが所定の診断書です。治療が必要で3カ月は出国できないと、必ず、必ず書いてください」
医師「3カ月も入院する病気でもないけれど、そんなに言うなら……。前に書かなかった先生が患者家族に怒鳴られていたしなぁ。怖いからとりあえず書いておこうか」(独り言)
(2週間後)
自称患者家族「先生のお陰で無事に滞在が延長され、健康保険に入ることができました。先生は患者思いの良い先生ですね」
看護師「先生、また先日入院した患者の家族という人が、診断書を至急書いてほしいと受付で待っています」
医師「わかりました。呼んでください」
自称患者家族「今入院している患者の観光ビザが切れてしまうので、出入国在留管理庁へ出す書類を書いてください。これが所定の診断書です。治療が必要で3カ月は出国できないと、必ず、必ず書いてください」
医師「3カ月も入院する病気でもないけれど、そんなに言うなら……。前に書かなかった先生が患者家族に怒鳴られていたしなぁ。怖いからとりあえず書いておこうか」(独り言)
(2週間後)
自称患者家族「先生のお陰で無事に滞在が延長され、健康保険に入ることができました。先生は患者思いの良い先生ですね」
他の医療機関から最も多い相談がこのようなケースだ。
短期ビザで来日した患者を治療のため入院させたら自称家族が現れた。病気のため3カ月以上の治療が必要だという書類を書いてほしいと言う。書いたらなぜか患者は健康保険に加入した――というものである。







