ひろゆき氏ひろゆき氏 写真提供:徳間書店

「失敗したくない」「遠回りはムダ」「効率よく生きたい」──そう考える人は少なくない。だが、実業家のひろゆき氏は「便利すぎる人生は、面白さも発見も奪ってしまう」と語る。フランス語も完璧ではなく、ストライキで電車も止まるパリに住み続けるのも、そのためだという。なぜ彼は、あえて「困ること」を選ぶのか。※本稿は、実業家のひろゆき(西村博之)『人生の正体 生きること、死ぬこと』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。

「わかりにくい世界」が
人を成長させる

 僕はいま、パリに住んでいる。フランス語はそんなに上手くないし、行政の手続きは遅いし、ストライキですぐ電車は止まる。日本にいたほうが便利だし、ご飯も美味しいし、言葉も通じる。合理的に考えれば、パリに住むメリットなんてほとんどない。

 でも、僕はここにいる。

 パリ生活の魅力はなにか。しいて答えるなら、「わかりにくいこと」があるから、ということになるのかもしれない。

 この「わかりにくいこと」とは、言葉の壁、ライフスタイル、国の制度の話だけではない。もっと生活の底に横たわっている見えない不文律みたいなやつだ。

 海外で生活していると「正しい振る舞い」を測りかねるときがある。

 言葉が通じない。ルールも空気も読みにくい。相手が味方かどうかも、いまいち確信が持てない。

 すると、自分のセンサーが過敏になる。場の「密度」が一気に濃くなる。

 安全圏にいるときみたいにボーッとしていられないからだ。自分の話し方、距離感、表情、目線──。そういう細部が急に研ぎ澄まされる。

 挨拶ひとつ、笑顔ひとつ、道を譲るひと呼吸で、トラブルの確率は目に見えて下がる。逆に、ちょっと雑に振る舞うだけで、誤解やリスクを招く。