フランスは2030年までに1兆ドルを超える国債が満期を迎える FIRAS ABDULLAH/EPA/SHUTTERSTOCK
フランスが危険な財政スパイラルの瀬戸際にある。
世界的な金利上昇により、かつて欧州金融市場で相対的に安定した「オアシス」と見なされていたフランスが、欧州大陸で最もぜい弱な国の部類に入ることが露呈した。同国が支払う借り入れコストは現在、過去の危機で震源地となったギリシャやイタリアのそれを上回る。フランス政府の財政赤字は、同等の国々の中で米国に次ぐ規模に達している。
先週、フランス国債市場でじわじわと進んでいた売りが 不穏な展開を見せた 。欧州大陸全体にも売りが広がり、10年前のユーロ圏債務危機を想起させたのだ。フランスの10年債利回りは5%近くまで上昇し、2002年以来の高水準となった。
投資家はさらなる事態の悪化に身構えている。金利の上昇を受け、超低金利時代に借り入れた巨額の債務をまさに借り換えようとしているタイミングで、フランス政府のコスト負担は増すことになる。同国は2030年までに1兆ドル(約158兆円)を超える国債が満期を迎える。しかも来年は、かつての信頼できる需要源を失った市場で、過去最高となる約3800億ドル相当の国債を発行する予定だ。
フランス銀行(中央銀行)はもはや国債を購入しておらず、それどころか満期償還金を再投資しないことで保有国債を減らしている。日本の資産運用会社のような、かつては着実な需要が見込まれた投資家も手を引いている。その空白を埋めるために参入したヘッジファンドは、最近の相場の急変動で痛手を負った。
フランスの資産運用会社カルミニャックのポートフォリオアドバイザー、ケビン・トゼ氏は「フランスは数十年といわないまでも、数年は欧州で『ただ乗り』してきた。財政的な大罪を犯しながらも、おとがめなしで済んできたのだ」と指摘する。「誰も気づかないうちはうまくいっていたが、今は気付かれ始めている」
フランス財務省が委託した最近の調査によると、フランスの債務返済コストは2030年までに59%増加する見通しだ。債務支払いは現在、フランス政府の最大級の支出項目となっており、2020年代末までには防衛費を上回る可能性がある。現在、国内総生産(GDP)比120%近くに達しているフランスの債務残高は、フランス銀行総裁が最近「緩やかな首絞め」と呼んだ状態に同国経済を陥れる恐れがある。
フランス国債売りに拍車を掛けているのは、同国が統治不能に陥り、政治システムがもはや是正措置を講じられなくなるかもしれないという懸念だ。ここ数年で、分断を極める国民議会(下院)の議員らは、歳出削減によって財政秩序を回復しようとした首相を次々と排除してきた。2027年春に大統領選挙を控える中、任期制限により出馬できないエマニュエル・マクロン大統領の後任を目指す有力候補者らは、政府支出の拡大を約束して有権者にすり寄っている。








