「嫌い」と「事実」は分けた方が良い

 3回にわたり、BYDラッコを巡る様々な疑問を東福寺社長にぶつけてきた。

 軽市場参入には、当の東福寺社長自身が反対していた。最低地上高135mmだからといって、バッテリーがむき出しになっている訳でもない。水に浸かれば即感電、という訳でもない。そして「元日産のサクラ開発者を引き抜いて造った」という話も、実態は随分違っていた。

 とはいえBYDの言うことを全て信用しろ、中国車には何の問題もない、みなさんも補助金をゲットして買いましょう、と言うつもりは毛頭ない。今回書いたのは、あくまでBYD側に疑問をぶつけ、それに対して東福寺社長がどう答えたか、である。

 中国が嫌い。中国企業は信用しない。中華車なんぞは死んでも買わんという人は、買わなければ良い。個人の自由だ。

 ただし「嫌い」と「事実」は分けた方がいい。

 中国製だから危険に決まっている。中国人にマトモな軽など造れるわけがない。卑怯な中国企業が日本人技術者を引き抜いたに違いない。個人情報は全部中国へ持っていかれる……。こうした話を、ファクトも確認せずに頭から信じ込んでしまうのは、どうだろう。

日本の自動車メーカーにとって、本当にヤバいこと

 今回のインタビューで不肖フェルの背筋がゾッと寒くなったのは、別のところだ。

 軽自動車をほとんど知らなかった若い中国人技術者たちが日本へやって来て、日本人が何を買い、それを車内のどこへ置くかまで観察する。牛乳パックを中国まで持ち帰り、日本の軽を徹底的に研究し、あっという間にここまでの商品に仕立て上げる。

 日本人技術者を大量に引き抜いたから造れた、という話なら、逆に安心できる。しかしそうではなかった。

 彼らは自分たちの目で見て、学び、造り上げた。

 日本の自動車メーカーにとって本当にヤバいのは、そちらの方ではないか。

 3回にわたってお届けしたBYD Auto Japan東福寺社長インタビュー、お楽しみいただけたでしょうか。次回はマツダの勝負球の試乗記をお届けします。

 それではみなさまお待ちかねのヨタ話を。