ドナルド・トランプ米大統領ドナルド・トランプ米大統領 Photo:Aaron Schwartz/gettyimages

タカ派色を強めるウォーシュFRB
試行錯誤が続く市場との対話

 2026年5月に米連邦準備制度理事会(FRB)の第17代議長に就任したケビン・ウォーシュ氏は、就任から数カ月を経て急速にタカ派色(利上げに前向きな姿勢)を強めている。

 就任当初の同氏は、前任のパウエル体制が重視したフォワードガイダンス(先行きの政策指針)を疑問視し、声明文から将来の政策方針を示唆する文言をそぎ落とすなど、金融市場とのコミュニケーションの刷新を試みた。

 しかし、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)では金利を据え置くなかで、経済情勢や政策判断に関する丁寧な説明を欠き、市場にはインフレ抑制に対するFRBの姿勢に関する不透明感が広がった。結果として、一時的ではあるが、債券市場では長期金利の上昇やイールドカーブのスティープ化(長短金利差の拡大)を招くこととなった。

 こうした市場の混乱やメディアからの批判を受け、ウォーシュ議長は8月下旬のジャクソンホール会議以降、コミュニケーションの修正に動いた。

 同会議の講演では「金融環境は幅広く引き締まっているとは言い難い」と指摘し、基調的な物価上昇率が明確に2%目標へ収束していく確信が得られない場合は追加の政策行動を辞さない姿勢を強調した。物価安定への強いコミットメントを鮮明にすることで、市場との意思疎通の立て直しを図ったとみられる。

トランプ氏による「FRB口先介入」
執拗な利下げ要求と独立性の侵害

 FRBがインフレ警戒を強める一方で、最大の火種となり続けているのがトランプ大統領による露骨な金融政策への介入である。