例えば、コンパクトカー「ノートオーラ」は非凡な出来栄えだった。輸入車と競合する高価格であるにもかかわらず、経営危機が表面化するまでは好調に売れていた。

 それが瓦解したのは、経営危機が決算に明確に表れた2024年だ。イメージ悪化とともに販売は急落。2025年度の国内新車販売台数(登録車+軽自動車)は22万台(前年度比19.0%減)まで落ち込み、年度として比較可能な1993年以降で初めて40万台を割り込んだ。

 もし性能や機能の良し悪しだけでなく、日産がユーザーから強く支持されるようなスピリットを商品で示せていたら……。イメージ悪化は避けられなかったとしても、ここまで急激な離反を招かずに済んだかもしれない。

 その点、クルマというものはこう走り、こう使えればユーザーがより楽しくなる、といった信念が盛られたキックスが出てきたことは、ブランド再生の足がかりになるはずだ。

「これでこそ日産!」経営危機でもクルマ作りの魂は健在…キックスの〈小窓〉に感動したワケキックスのサイドビュー。全長4.3m級というショートボディだが、デザインの妙で伸びやかに見える Photo by K.I.
「これでこそ日産!」経営危機でもクルマ作りの魂は健在…キックスの〈小窓〉に感動したワケキックスのリアビュー。Cピラーの一部をブラックアウトして屋根が浮いているように見えるフローティングルーフという技法を使いつつ、ブラックアウト部分に小窓を仕込んでいる Photo by K.I.