ホテル 地殻変動#2Photo by Masato Kato

建築費の高騰で、新規のホテルの建設を計画することがより難しくなっている。そんな中で増えているのが、改装を施して別のホテルとして開業する「リブランド」だ。米ホテル大手のヒルトンがリブランドを前提とした未上陸の3ブランドを日韓市場に投入することが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。特集『ホテル 地殻変動』の#2では、新規投入するブランドについて詳報する。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

建築費と地価の高騰で
「リブランド」主戦場に

 外資系大手ホテルチェーンの米ヒルトンが三つのブランドを日韓市場に新規投入することが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。ヒルトンはなぜ、このタイミングで勝負に出るのか。

 インバウンドの成長を背景に、日本のホテル業界は上昇気流に乗ってきた。しかし、足元では建築費や地価の高騰などを受けて、新規ホテル建設の動きは落ち着いている。そうした中、ホテルチェーンの規模拡大において新たな主流となっているのが、既存ホテルを改装してオープンする「リブランド」だ。

 中でもこの動きをけん引しているのが、外資系ホテルチェーンである。長く、外資系は日本市場で“憧れの場所”を提供してきた。彼らが開業したラグジュアリーホテルが、特別な日のぜいたくや冠婚葬祭といった場面で利用されている。

 しかし近年の景色は大きく異なってきている。最上位のブランドが伝統や世界観を象徴する一方で、アッパーミドルやエコノミーといった価格帯のブランドも続々と日本市場に進出。あらゆる顧客層をターゲットにした「全方位戦略」へとかじを切っている。

 この戦略は、ホテルを所有するオーナーのニーズと合致している。建築費が高騰し、金利も上昇する中、オーナーはより高いADR(実際に販売した客室1室当たりの平均単価)を稼ぎたい。加えて外資系ホテルチェーンは強力なグローバル会員基盤を持ち、安定した送客力を備える。こうした背景から、既存ホテルが短期間の改装を経て、外資ブランドへと切り替わるコンバージョン(用途変更・ブランド転換)が急増しているのだ。

 直近では、2026年5月に米マリオット・インターナショナルが大阪にある既存のホテルをリブランドして、「シティエクスプレスbyマリオット」を2軒開業。英IHGホテルズ&リゾーツは26年8月に大規模なリブランド案件を発表。京都で14軒のホテルを改装し「ガーナーホテル」などとして順次開業する。

 ヒルトンもこの流れの中で、リブランドの獲得競争へ本格的に乗り出すべく、日本および韓国市場で未上陸の3ブランドを投入することにしたのだ。

 次ページでは、ホテル業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めた、三つのブランドについて詳報する。