狂乱バブル ホテル大戦争#4Photo by Masato Kato

世界最大のホテルチェーン、米マリオット・インターナショナルの日本・グアム担当エリアバイスプレジデントのカール・ハドソン氏が、ダイヤモンド編集部のインタビューに応じた。「47都道府県にマリオットブランドを打ち立てる」と宣言し、ラグジュアリーホテルからビジネスホテルまでの“全方位戦略”の中身を打ち明けた。特集『狂乱バブル ホテル大戦争』の#4では、マリオットのハドソン氏のインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

今年後半には訪日外国人旅行客は
3200万~3400万人に届くはず

――インバウンドが活況を呈しています。

 パンデミックが終息し、日本に行きたいという観光需要は非常に堅調で強いものがあります。もともと日本は世界において非常に人気の高い観光地ですから。そして、円安によるディスカウントの影響も大きいです。日本での旅行を安く、お得に楽しむことができる。これは大きな特長です。

 もう一つは、SNSによる拡散効果です。日本の文化や美しい景色などを満喫した旅行の様子がSNSに投稿されると、それを見た外国人の間で「流行に乗り遅れるな!」という反応が出ています。SNSの拡散効果で、日本を訪れたいと思う外国人が増えていると感じます。

 多くの外国人の間で、人生においてやりたいことを書き出す「バケットリスト」に、「日本を訪れる」が入っています。これは、10年前では考えられない現象でした。

――インバウンドの活況は続くと思いますか。

 この勢いは加速すると思います。日本政府は2030年までに訪日外国人観光客を6000万人にまで伸ばすという目標を掲げ、それに向けてさまざまな施策を打ち出していますから。

 訪日外国人観光客は、今年の後半には過去最大だった19年の3188万人を超えて3200万人を突破するでしょう。今年トータルで3400万人に達するとみています。

――マリオット・インターナショナルを含む外資系の世界五大ホテルチェーンはグローバルでシェア20%超を誇りますが、日本では5%未満です。

 われわれが今やっているのは、日本におけるシェア拡大ですし、今はまさにチャンスだと思っています。

 マリオットブランドのホテルは13年時点で、日本国内に10軒しかありませんでした。それが今や、96軒まで拡大しました。すでに契約済みのものを含めると、年末には100軒を超えるでしょう。この10年で、マリオットブランドのホテルは10倍に増えました。

 現時点でマリオットブランドのホテルは27都道府県で展開していますが、私たちの目標は全国47都道府県にマリオットブランドのホテルを打ち立てることです。

――具体的にどうやってマリオットブランドのホテルを全国に拡大していきますか。

次ページでは、ハドソン氏が日本でマリオットブランドを増やす上での強みについて解説する。また、ビジネスホテル領域に進出する狙いに加え、ターゲット層についても明らかにする。