狂乱バブル ホテル大戦争#14Photo by Masato Kato

ビッグ5と呼ばれる世界五大ホテルチェーンの一角、米ハイアット ホテルズ コーポレーションの日本・ミクロネシア地区代表取締役副社長の坂村政彦氏がダイヤモンド編集部のインタビューに応じた。坂村氏は「受け身から攻めの姿勢に転じる」と強調。特集『狂乱バブル ホテル大戦争』の#14では、坂村氏にハイアットの日本市場における新戦略について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

マーケット自体が拡大
日本の観光産業は伸びしろがある

――インバウンドが好調です。この勢いは、続くと思いますか。

 勢いというか、先行きについては楽観視しています。日本にいるスタッフよりも、特にアジアのヘッドクオーターは、日本に対して強気な展望を持っています。

 特に海外にいるとよく分かるんでしょうけれども、観光地として日本の人気というのは、確固たるものがあります。アジアの中でも、際立って日本に対する旅行需要というのが潜在的にある。

 さらに経済成長が著しい国、例えばタイ、マレーシア、インドネシア、ベトナムといった国々の富裕層が急激に増えており、旅行需要も増加してくるとみています。そういう意味では、マーケット自体が拡大していくと、強気な思いを持っています。

 足元では、既にリピーターが結構います。しかも、日本人でも頻繁に行かないような観光地にインバウンドが訪れている。日本の旅行に対する深みが増し、多様化もしてきていると感じます。日本の観光業は、まだまだ伸びしろがあると思います。ぜひ、この芽を絶やさないようにしたいです。

――日本のホテル市場におけるボトルネックは。

 観光業が伸びしろを持つ成長産業であるにもかかわらず、それを支える資源がないという状況になってしまってはもったいないです。特に人材が足りないという状況は、今後さらに深刻化していきます。賃金体系の見直し、外国人労働者の受け入れ、働き方改革など、国を挙げて議論しなければいけないと思います。

 短期的には果実をもたらすかもしれませんが、円安は長期的に見てリスクファクターだと思っています。円安は、日本国内の物価高騰を招きます。人材の雇用にも大きな影響があります。海外の人にとって、円安によって賃金への魅力を感じないため、優秀な人材を招くことが難しい。

――日本市場における今後の戦略は。日本発の温泉旅館ブランド「吾汝 ATONA」を立ち上げました。