衆議院で所信表明演説をする高市早苗首相=10月5日 Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages
国債残高は30年で7倍に膨張
巨額債務と金利上昇の初めての局面
政府は10月9日、食料品の消費税率を8%から1%にし、さらに1%分の低所得層向け給付を実施、事実上「ゼロ%」にする消費税減税の法案を閣議決定したが、この減税には、財源が不明などと、さまざまな批判が起きている。
とりわけ懸念されるのは、日本の財政が歴史的転換点にあることだ。
巨額の政府債務を抱えているうえに、10年国債金利(長期金利)は3%を超え、30年ぶりの高水準になっている。
これまで赤字があっても、金利負担は大きな問題にならなかった。だが、その状況が変わってきているのだ。
日本の財政が悪化したのは約30年前のことだ。1990年代のバブル崩壊以降、景気対策、社会保障費の増加、税収の伸び悩みなどによって財政赤字が続き、国債残高は増加を続けてきた。
普通国債残高は1990年度末にはわずか166兆円だったが、2000年度には368兆円、10年度には636兆円、20年度には947兆円と、急激に増加してきた。そして25年度末には、1129兆円に達する見込みだ。30年余りの期間に約7倍にも膨張したことになる。
ところが他方で、国債の利率は低下し続けた。普通国債の利率加重平均は1990年度末には6.10%だったが、2000年度末には2.67%まで低下した。その後さらに下がり、24年度末には0.83%となった。
つまり、「債務残高は急増するが、平均金利は低下する」という二つの動きが同時に進行したのだ。このため、国債残高が何倍にも増えたにもかかわらず、利払い費はそれに比例して増えなかった。
90年代前半は「高金利だが債務は小さい」時代だった。これに対して現在は、「金利は当時ほど高くないが、債務は極端に大きい」時代だ。この組み合わせは、日本がこれまで本格的に経験してこなかった問題だ。
財政運営は、このことをきちんと認識したうえで行われる必要がある。







