日本との対立がインドの対欧州ビジネスに与える影響
それに、インドと日本の間で生じたトラブルが、今後インドへの参入を検討する欧州企業にどう受け止められるかという視点も重要だ。契約後に条件や計画が変更されるような事態があれば、「将来、自分たちにも同じことが降りかかるのではないか」と警戒を強める企業が出てくる可能性がある。
インドの大型プロジェクトでは、州政府と中央政府の複雑な権限関係、土地収用の難航、政策変更など、外国企業にとって予測が難しいリスクが生じることがある。こうしたリスクは、契約の履行や事業計画の見通しにも影響を及ぼしうる。
企業が最も警戒するのは、事業を進める過程で当初の想定や条件が変わり、投資の見通しが立ちにくくなることだ。今後参入する欧州企業も、リスクが高いと判断すれば、リスク分を価格に織り込んだり、政府保証などの条件を求めたりする可能性がある。その場合、発注側の負担が増えることも考えられる。
インドの政策決定者が「日本がダメでも欧州がある」と考えているとしても、欧州企業が日本企業と同じ条件で参入するとは限らない。インド側には、個別のプロジェクトで生じた問題が、今後の海外企業との協力や資金調達の条件に影響する可能性も考慮する必要がある。
日本にも誤算…価格や技術をめぐるインド側の不満
ただし、今回の問題をインド側だけの問題と見るのも公平ではない。
第一に、日本が提案する次世代車両E10系が開発途上だったことだ。インド側によれば供給は2034年まで待たねばならない。インド鉄道省の高官は、日本側から車両、信号、運行管理システムの具体的な提案が得られていなかったとも説明している。
第二に、価格である。前述のとおり、日本の車両提示額は海外勢の調達案を大きく上回っていたようだ。
また、FTは、インド側の交渉担当者が、将来の柔軟性の確保、技術の国産化、費用の削減を強硬に追求する一方で、日本側はインフラを一括パッケージで輸出することに固執し、「日本の技術は特別だ」という姿勢が反感を買ったと報じている。日本の外交関係者も、内向きな企業体質や国際感覚のある人材の育成の遅れが、両国の溝を広げたことを認めたという。







