なぜか人生がうまくいく人がいる。一方で、同じように努力しているはずなのに、なかなか思うような結果が出ない人もいる。その違いは、才能や性格、努力の量だけで決まるものなのだろうか。人生がうまくいくかどうかを握る脳の意外な仕組みを『すべて本能のせい』から紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局)
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「人生がうまくいく人」は、何が違うのか?
仕事で成果を上げ、次々と新しいことに挑戦していく人。
一方で、能力は十分にあるはずなのに、なかなか一歩を踏み出せない人。
その違いは、どこにあるのだろうか。
私たちは、何かに挑戦するとき、つい「自信があるかどうか」を考えてしまう。
自信がある人は積極的に行動できる。
自信がない人は、失敗を恐れて挑戦をためらってしまう。
そんなイメージを持っている人も多いだろう。
しかし、そもそも自信は、どのようにして生まれるのだろうか。
生まれつき自信がある人もいるかもしれないが、私たちの自信は、それまでの経験によっても変化する。
たとえば、初めて任された仕事がうまくいったとき。
それまでは「自分にできるだろうか」と不安だったのに、一度成功すると、「次もやってみよう」と思えることがある。
実は、こうした変化には、脳の仕組みが関係しているという。
一度成功すると、さらに挑戦したくなる「勝者効果」
『すべて本能のせい』ではそんな脳の仕組みが下記のように解説されている。
脳内の報酬系は成功や期待に敏感に反応し、その行動をさらに強め、自信をつけることに関わっています。
また、自己評価や意思決定を司る脳の「前頭前野」も、決して客観的な判断ばかりをしているわけではありません。
その瞬間の感情や過去の経験に影響を受けやすい構造も持っているのです。
さらに、テストステロンなどのホルモンが競争行動や危険を冒す行動を前向きに促進し、成功した際にはその自信をさらに強める方向に働きます。
この「勝つとさらに挑戦したくなる」という連鎖は、「勝者効果」として知られています。
「人生がうまくいく人」が持っている、ある経験
ここで注目したいのが、「成功体験」の存在だ。
私たちは何かに挑戦するとき、目の前の状況だけを見て判断しているわけではない。
過去に似たような経験をして成功していれば、「今回もうまくいくかもしれない」と感じやすくなる。
そして、その自信が次の行動を後押しすることがある。
たとえば、仕事で小さな成果を上げたことをきっかけに、それまで避けていた難しい仕事にも挑戦できるようになるかもしれない。
人前で話すことが苦手だった人が、一度うまく発表できた経験から、次の機会にも積極的に手を挙げられるようになることもあるだろう。
つまり、成功体験は、その場限りの喜びで終わるとは限らない。
その後の自信や行動にも影響する可能性があるのだ。
一度成功したことで自信がつき、次の挑戦に積極的になる。
そして、その挑戦がうまくいけば、さらに自信が強まる。
こうした好循環が生まれることもある。
人生がうまくいく人と、なかなかうまくいかない人。
その違いを考えるうえで、過去の成功体験が次の行動を後押ししているかどうかは、一つの重要な視点になるだろう。
成功体験が、かえって判断を誤らせることもある
ただし、成功体験には注意したい側面もある。
成功した経験が自信につながることは、決して悪いことではない。
しかし、自信が強くなりすぎると、危険を過小評価したり、必要以上に大胆な判断をしたりする可能性もある。
たとえば、ある仕事で大きな成果を上げたからといって、別の仕事でも同じように成功できるとは限らない。
それでも、過去の成功体験が強く印象に残っていれば、「今回も大丈夫だろう」と考えてしまうことがあるかもしれない。
脳の前頭前野は、自己評価や意思決定に関わっているが、その判断も過去の経験や感情から影響を受ける。
つまり、成功体験は次の挑戦を後押しする一方で、判断を楽観的にする可能性もあるのだ。
大切なのは、成功によって得られた自信を生かしながらも、目の前の状況を冷静に判断することだろう。
これからの人生で「成功体験」をどう生かすか
何かに挑戦したいと思っていても、なかなか一歩を踏み出せないことはある。
そんなとき、最初から大きな成功を目指す必要はないのかもしれない。
まずは自分にできることから取り組み、小さな達成を積み重ねていく。
そうした経験が、次の挑戦への自信につながる可能性がある。
もちろん、成功体験があれば必ず人生がうまくいくというわけではない。
環境や運、周囲の支えなど、人生にはさまざまな要因が関係している。
それでも、私たちの脳が過去の成功体験を学習し、その後の行動に反映させているという点は興味深い。
人生がうまくいっているかどうかを考えるとき、才能や努力だけでなく、「これまでの経験が、次の行動にどう影響しているか」という視点を持つことも大切なのではないだろうか。



