映画『ターミネーター』では、AIシステムの「スカイネット」が自我に目覚めて、人類を攻撃し核戦争を起こすストーリーが描かれた Photo: MediaNews Group/Boulder Daily Camera via Getty Images
ソフトバンク、三菱UFJ銀行、すき家・はま寿司、国税庁や気象庁…「PHP」の重大な脆弱(ぜいじゃく)性が見つかったことで、不正アクセスによる情報漏えいなどの被害を未然に防ぐため、多くの企業・機関がサイト閉鎖や機能停止に追い込まれた。なぜ、サイバー攻撃が増えているのか。AIの「大きな弊害」を探る。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
映画「ターミネーター」が現実に?
SNS上で、「PHPの脆弱性が見つかった」との投稿が流れ始めたのは10月20日だった。PHPとは、世界中で使われているプログラム言語のひとつだ。
PHPを管理する財団は翌21日、最先端AIを使った検証で、プログラムの中に10年以上放置されていた脆弱性があると明らかにした。これが、「ゼロデイ脆弱性」である。修正前にゼロデイ脆弱性の詳細が漏れると、サイバー攻撃を受ける可能性が高い。
この発表後、世界中の政府や研究機関、大手企業が緊急のシステム修正に追われた。日本でも通信、交通、外食、小売り、金融などの企業で予防的措置としてシステム停止やメンテナンスを実施。これに伴い、一部で混乱が生じた。
週が明けて「PHPショック」のニュースは減りつつあるが、安心するのは早計だ。世界中で非常に深刻な脅威になる可能性は依然として残っている。多くの人々は楽観的に構えているようだが、今後の展開次第では、AI自身がさまざまなシステムを攻撃することも考えられる。
「私たちは今、映画『ターミネーター』の世界への入り口にいる」と警告する専門家もいるほどだ。同映画では、AIシステムの「スカイネット」が自我に目覚めて、人類を攻撃し核戦争を起こすストーリーが描かれた。
米国と中国の対立も背景に、AI開発はさらに加速するだろう。特に、中国AIの成長で、ハッカー集団の攻撃力は格段に向上する可能性がある。今回のPHPショックのように、私たちが全く意識していないシステムに関して、深刻な脆弱性が明らかになり、それが瞬時にサイバー攻撃の対象になることも懸念される。
AIの限界と危険性が認識されることで、株式市場における「AIバブル」の終焉(しゅうえん)につながる可能性もありそうだ。AIが生活の安心・安全を揺るがすリスクに対して、私たちは今すぐ何をすべきか。個人や企業がAIに対して、身を守る術はあるのか。







