AI暴走時に身を守る方法はあるのか
PHPのようにシステムを支えるプログラム言語の脆弱性やITセキュリティー上の不備が発覚し、それをAIが攻撃するケースは増えるだろう。その場合、世界はかなりの混乱に見舞われるはずだ。
代表的な分析のひとつを紹介しよう。米国の経済学者らが運営する「フォーキャスティング・リサーチ・インスティテュート」(FRI)の分析は有名だ。これによると、データを破壊するウイルスが2026年中に100億ドル以上の損害を出す確率は、通常の想定で5~8%だという。
一方、AIの進歩によって中程度の技能のハッカーの一部でも高度な攻撃ができるようになり、しかもそのAIが安全対策のない公開モデルとして出回った場合、確率は15~41%に上がる。その想定損害額は330億~670億ドル(約5.2兆~10.5兆円)にも膨らむと推計される。しかも、これはまだ控えめな推計との指摘も多い。
AIを使う攻撃は速い。攻撃の回数と対象も格段に増える。わが国企業がAIの脅威に対応するには、恒常的に自社サイトやシステムの安全性を高め、不備を検証することが欠かせない。使っていない古いサイトは閉鎖する。修正プログラムは即時実行する。社員のログインは、スマートフォン承認などの多要素認証を必須にする。
取引先や開発委託先の対応状況の確認も重要だ。そのうえで、侵入される前提でデータをこまめにバックアップし、被害を局所にとどめるシステムを構築することが求められる。
個人はパスワードを使い回さないようにする。多要素認証の実施に加え、スマホやPCの更新は即時適用する。不審なメールやリンクは絶対に開かない。AIを使った詐欺では、件名などに「至急」などと入れることで受信者を慌てさせる。メッセージを開くと攻撃につながる。開く前に、冷静な確認を心がけたい。
従来のハッカー集団は、手間に見合わない中小企業や個人のサイトを攻撃対象にしないことが多かった。しかし、AIを使うとまるで底引き網を引くように、個人も企業も広範囲にターゲットにできる。
自分は関係ない、などという考えはAIの危険性を高める。だからこそ、相手を選ばずに効く、基本的な対策を講じる重要性が高まっているのだ。








