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頭の良さは、生まれつきの能力だけで決まるものではありません。学び方を変えれば、頭の使い方は何歳からでも変えられます。必要なのは、脳の性質に合った学び方を知ることです。その具体的な方法を『頭のいい人が習慣にしている 学び方の戦略』(アスコム)から一部抜粋してご紹介します。今回のテーマは「記憶」。学生・社会人を問わず、メモやノートをしっかり取ったはずなのに、その内容を忘れてしまうのはよくある話です。では、どうすれば記憶を定着できるのでしょうか。(言語学者・明治大学教授 堀田秀吾)
ノートは「写す」より
「考えて整理する」が正解
ノートをまじめにとっているのに、あとで見返すと頭に残っていない。
これは、ノートをとる努力の量が足りていないからではありません。努力の量が結果にそのまま比例しないから起こるものです。
授業や動画を聞きながら文字をそのまま写すと、手は動くものの、頭が「理解して自分の言葉にする」工程を飛ばしやすいことが、その背景には存在するのです。
プリンストン大学のミュラーとカリフォルニア大学ロサンゼルス校のオッペンハイマーは、講義を聞きながらノートをとるとき、手書きよりノートPCのほうが逐語(言葉どおり)になりやすく、それが学びを浅くしていると述べています。
実験では、参加者がノートPCか手書きでノートをとり、その後に事実問題と概念問題(理解して使うタイプ)に回答しました。
結果は、事実問題では大きな差が出にくい一方で、概念問題ではノートPCの成績が手書きより低くなりました。また、『そのまま書きとることが多いノートほど成績が下がる』という関係も同じように見つかっています。
つまり大事なのは、ペンかキーボードかという道具の違いよりも、そのまま写すか、自分の言葉に変えるかということだといえます。
出典:『頭のいい人が習慣にしている学び方の戦略』拡大画像表示
情報量の多さが
成績に直結しない理由
ノートの中身を見ると、ノートPCは文字数が多く、講義と同じ表現の割合(逐語の重なり)が高い傾向が出ています。
たとえば、逐語の重なりがノートPC=約14.6%に対し、手書き=約8.8%といった具合です。
この結果から、情報量が多いこと自体はプラスなのに、逐語が増えるほど成績が下がりやすい、という関係が見えてきます。つまり、ノートで本当に効くのは、速記ではなく「整理」といえるのです。
手書きが強くなりやすいのは、遅いぶんだけ削ってまとめざるを得ず、その過程で要点を選び、言い換え、関係をつなぐ作業が入りやすいからと考えましょう。
つまり大切なのは、ただ手で写すことではなく、「手書きで要約する」ことです。内容を短くまとめようとすると、「何が重要か」「どう言い換えれば伝わるか」を考えるため、理解が一段深くなります。
ノートはいうならば、記録であると同時に、理解を一段深くする装置です。
ノートの目的を「漏らさず写す」から「あとで説明できるかたちに整える」へ寄せるだけで、復習の効きが劇的に変わってきます。
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