ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長 Photo: Tomohiro Ohsumi/Getty Images
「今からタスク1000個書け!」。部下にこう命じる一方、起業家には求められた額を上回る資金を投じようとした。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長のエピソードだ。両者に共通する孫氏の問題意識とは何か。起業家の意思決定に関する研究も交えながら、「仕事ができる人」と「できない人」を分ける決定的な違いに迫る。(イトモス研究所所長 小倉健一)
「そんなチンタラやってたら
進まんやないか!」
「お前ら、そんなチンタラやってたら進まんやないか!」
土曜の朝8時ごろのことだ。社長秘書からの電話で呼び出された須田仁之氏がオフィスに着くと、孫正義氏が顔を真っ赤にして憤慨していた。須田氏は当時まだ20代。孫氏の下で通信サービス「Yahoo!BB」の立ち上げに携わった人物だ(2019年7月8日付の東洋経済オンライン)。
孫氏は、やるべき仕事をちゃんと管理しているのかと問い詰め、こう命じた。
「今からタスク1000個書け!あるはずだ!必ずやれ!」
当時、須田氏は毎日深夜まで働いていた。前日も深夜まで残業し、家に帰ったのは、土曜日の午前3時だった。シャワーを浴びて、ようやく眠ったところで電話が鳴ったわけだ。夜中まで働いて、数時間後には本気が足りないと怒鳴られる。たまったものではない。
ただ、私が引っかかったのは怒鳴り声よりも「1000個」という数字のほうだ。すでに睡眠を削って働いている部下に、これ以上机に向かえと言っても限界はある。それなのに孫氏は、時間を増やせとは言わず、やることを書き出せと言った。いったい何を見たかったのか。







