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日本屈指の実業家である孫正義氏が、AIデータセンターへの野望を胸に規制産業であるエネルギー業界への進出を再び図っている。孫氏の大々的な業界参入表明は今回が2度目だ。長期連載『エネルギー動乱』内の特集『東電分解』の#4では、2011年の東日本大震災後に打ち出した型破りな構想と、電力業界に今なお根強く残る苦々しい記憶の正体を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)
「東京電力さんがグループに入れば…」
孫正義氏は東京電力HDへの関心隠さず
「もし東京電力さんがわれわれのグループの中に入れば、電力を増やしてAIデータセンター(DC)を日本に持ってくる」
2026年6月に開催されたソフトバンクグループ(SBG)の株主総会。孫正義会長兼社長は東京電力ホールディングス(HD)とのアライアンスへの関心を隠すことなく示した。
東電HDとの資本・業務提携を巡っては、外資系ファンドなど複数社が候補企業として浮上しているが、その最有力候補の一角と目されるのがSBG傘下で通信事業大手のソフトバンクだ。狙いは孫氏の発言の通り、世界的な建設ラッシュが続くDCに必要な、膨大な電力の確保にある。
SBGは既に日本国内のみならず、米国やフランスで現地企業と協業したDC建設計画を公表している。米国ではトランプ政権が火力発電への回帰を鮮明にして電力需要の増大に備えるが、世界の4割近いDCが同国に集中しているだけにその負担は天文学的だ。フランスは世界有数の原子力発電大国で24時間稼働のDCと相性は良いが、原子炉の老朽化や新増設の遅延という日本と似た問題を抱えている。
孫氏は「AIの進化においてボトルネックになるものは、チップだけではなくて電力です。電力とそのチップを動かすためのDCです」と直面する課題に言及し、自ら電力業界を再編する意思を示している。
ただ、孫氏のエネルギー業界への参入は今に始まった話ではない。その原点は、11年の東日本大震災直後にまでさかのぼる。次ページでは、孫氏がかつて再生可能エネルギーの潮流を巻き起こした際、電力業界に刻まれた苦々しい記憶を明らかにする。







