来年4月1日に実施予定の消費税増税はどうなるのか。その最終決定の時期が近づいている。

 8月12日に発表された4~6月期のGDP速報値の改定値は9月9日に公表されるが、安倍晋三首相はそれを見て、「集中点検会合」の意見を参考に10月中旬の臨時国会開会前には最終判断をするつもりであろう。

 最近の首相の言動を観察していると首相の意向は未だ白紙の状態のように見える。迷っているというより決めていないという印象だ。特定の方向に誘導する意図も感じられない。

 おそらく、8月12日のGDP速報値は首相にとっても予想外に低い数字だったのだろう。

 年率換算で実質2.6%の成長率は大方の予想よりほぼ1%も低かった。それでも肝心の民間設備投資に勢いがあればよいのだが、それが6期連続のマイナスであった衝撃は特に大きい。首相の胸中に「このまま増税に進んでもよいのか」という疑念がふくらんだとしてもふしぎではない。

 それに、4~6月の数字は「つくられた数字」の色合いが強い。①大震災復興特需、②駆け込み需要、③大型補正などの財政出動、それに④異次元の金融緩和円安効果、これらの政策要因が数字を持ち上げており、民間主導の景気の自律的回復にはほど遠い。言ってみれば、秋の増税判断のための集中的な政策総出動の結果である。

今、安倍首相の前にある
消費税増税への「3つの選択肢」とは

 さて、消費税増税について安倍首相の前には今、3つの選択肢がある。

(1)予定通り、来年4月1日から消費税率を3%上げて8%とする。

 この場合、経済が急失速しないような大型補正予算も用意されるだろう。特に来年2月に発表される今年10~12月期のGDP数値が死活的に重要だ。それによって実施直前に増税が撤回される可能性もないとは言えない。