株式市場は夏休みモード。出来高は少なく、日経平均株価は日々の値動きこそ荒いものの、結局は1万4000円を挟んだ一進一退に終始している。

 8月の株式市場を一言で言い表せば「材料待ち」に尽きる。7月までの株式市場では、超金融緩和と円安、成長戦略、そして参議院選挙と、よくも悪くも「アベノミクス」をめぐる駆け引きが続いてきた。しかし、「アベノミクス」の真の評価が判明するのはまだ先のこと。株式市場は新たな材料を待ちわびている。

 材料の乏しかった8月に比べ、9月は材料豊富だ。国内では7日の五輪開催地決定や、消費増税判断の基となる9日発表の4~6月期GDP2次速報値、11日が締め切りの国家戦略特区のアイデア募集などが注目されるだろう。海外では17~18日に米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、22日にはドイツで総選挙が行われる。

 中でも、株式市場が待ち望んでいるのは、東京五輪と消費増税。東京でのオリンピック開催は、国土強靭化、外国人旅行者の受け入れ拡大、首都圏空港の機能強化とアクセス改善など、アベノミクスと相性がよい。株式市場でのアベノミクス再評価にはうってつけの好材料となる。

 消費税については、増税せずに済むなら、そのほうがよいに決まっている。企業の負担は別にして、個人消費への悪影響だけを考えたら、1年に1%ずつ上げたほうがよいだろう。しかし、ここまでのアベノミクス成功は、ひとえに株価上昇によるところが大きい。そして、株価は消費増税も含めたすべてのパッケージを評価して、上昇してきたのである。