海運業界の株価が、急落後に出直って来ている。代表銘柄である(9101)日本郵船の株価は、2007年7月の高値1276円をピークに、昨年10月27日の369円まで71%下げた。

 その後は今年1月に590円まで反発している。新興国関連銘柄として商社、鉄鋼、建設機械などと並び2003年からの上昇相場を牽引してきたが、昨年10月の下げは強烈であった。

 この上昇は単なるリバウンドだろうか? 今回の暴落は中国経済の成長鈍化に伴う運賃市況の急落がその要因だが、運賃指数の回復とともに株価は再び上昇基調に転換すると判断している。

 海運業界の売り上げは大きく、定期船部門と不定期船部門に分かれている。定期船部門はコンテナ船中心で日用品、精密機械など工業製品などを運ぶが、不定期船部門は鉄鉱石、石炭、穀物などを運ぶバラ積み船と自動車船が中心だ。収益を牽引したのはこの不定期船部門であった。

 ところが、中国経済の成長鈍化により鋼材需要が低迷、鉄鉱石の輸入在庫は膨れ上がっている。また各国の製鉄メーカーが減産を進めている。

 社団法人日本鉄鋼連盟の統計によると、世界の粗鋼生産量は昨年9月から前年同月比でマイナスに転じ、11月には同マイナス19%まで減産が拡大している。このため鉄鉱石を運ぶドライバルク船の用船料は急落した。

 BDI(バルチック海運取引所が算出するドライバルク船運賃指数)は高値1万ポイント越えから直近800ポイント割れまで暴落。現在の水準では運行採算を割れていると推測される。

 しかし、中国の鉄鉱石需要は国内インフラ投資が中心であり、いずれ回復すると判断される。また現在の市況水準では船舶供給量の減少や老朽船のスクラップも予想され、運賃市況を下支えする可能性が高い。

 また日本の大手海運3社は、中長期契約の比率が高く、現在の市況に直ちにスライドして利益が減少するわけではない。昨年10月の株価急落は過剰反応と判断している。ドライバルク船の比率が高く、運賃市況回復の恩恵が大きい商船三井に注目している。

今回のポイント(まとめ)

 海運業界は、収益の中心である不定期船部門が、運賃市況の低迷とともに業績が悪化している。しかし、中国の鉄鉱石需要はインフラ投資であることから世界景気との連動が低く、船舶供給量も減少する可能性が高いため、市況は上昇に転じるだろう。昨年10月までの株価の急落は過剰反応と判断している。不定期船部門の比率が高い商船三井に注目している。