ちなみに、日本も過去に何度かデフォルトしている。著書でそう言及したところ、ある日本政府高官から「日本はデフォルトしていない」と訂正を求められたが、データを示したら納得してくれた(たとえば、1946年、預貯金はいったん封鎖され、封鎖預金からの払い戻しは新円で、限度は世帯員1人について100円とされた)。

 デフォルトというと、対外債務ばかりを想像しがちだが、対内債務のこの種のデフォルトまで含めて考えれば、大国の債務不履行はあり得ないとは断言できない。

―ここまで聞いていると、あなたは、昨年来の各国の財政出動が間違いだったと言いたいのか?

 すべての国において積極的な財政出動が絶対に必要だったのかと聞かれれば、そうではないと答えるほかない。日本などは、むしろ増税し、かつ支出を減らし、よりバランスの取れた予算を組むべきだ。ただ、リーマンショックに襲われた当時を振り返れば、世界経済がその後どのような事態に陥るのか確証を持って語ることができた人はいなかった。世界の終りが来るかもといわんばかりの不安が渦巻いていたあのような状況下では、大規模な景気刺激策は道理にはかなっていたとは思う。

 そもそも、私は歴史の教訓を提示することで、財政出動の是非を問おうとしているのではない。危機は長引くことを歴史は告げているわけで、財政出動が必要な国はこれからもそうすべきだ。オバマ政権には、とにかく短い期間に財政政策と金融政策の方針を変更するストップゴー政策だけは取ってはならないとアドバイスしてある。政策担当者に、迫りくるシナリオをきちんと認識してもらい、正しい対策を打ってほしいと切に願っている。

―その正しい対策とは何か。

 まず、現実を直視することだ。現実とは、今後10年以内に、多くの国が、大幅な増税、インフレ、実質的な債務不履行などを経験するだろうということだ。このようなときには、とにかく経済構造改革に全力を尽くすべきである。