「女性が上司だと働きにくい」
日本の職場に根強く残る偏見の矛盾

 女性が上司だと働きにくい――。

 そんな意見をよく聞くことがある。

「どう接していいのかわからない」

「女性に部下を統括する能力はないのではないか」

「部下への評価が公平ではなさそう」

「いずれは辞めてしまうかもしれない人が上司だと……」

 などなど、男性からは否定的な意見が出がちである。

 しかし、もしかしたらそれは思い込みかもしれない。いや、むしろ大部分が思い込みなのではないかと筆者は疑っている。

連載第8回で指摘したとおり、日本の女性管理職比率は国際的に見ても圧倒的に低い。そんななか、女性管理職はまだまだマイナーな存在であり、割合にしてわずか1割程度。会社の規模や業界によっては、ほとんど存在しない会社もある。そのわりには、女性上司の「無能説」が流れすぎてはいないだろうか。

 ほとんど存在しないものに対して、ここまで否定的な声が多勢を占めるのは不可解だ。その背景には、どんな思惑が渦巻いているのだろうか。

 女性が管理職になると不利益を被る男性が、「無能説」を流している?

 それもなくはないと思うが、ほとんど陰謀論的な都市伝説に過ぎない。そうではなくて、女性管理職が少ないため、未知の存在に怯えている臆病な人が多いのが実情だと思う。