採算性や助成制度の問題により、普及が遅れてきた賃貸住宅のエコ化。先進的なエコ住宅の開発を進めている積水ハウスでは、2008年に全国初のフル・エコ賃貸物件を施工。物件オーナー・販売営業・ユーザーの声から、ECO賃貸住宅の可能性を探った。
究極のCO2削減を図る
全国初の賃貸住宅を建築
2008年4月、大阪府茨木市に新しい賃貸住宅が誕生した。これは、敷地内に1LDK、2LDK、3LDKの3タイプ3棟が入る積水ハウスの集合賃貸住宅。そのうちファミリー向け6戸が入った3LDK棟が「ECO賃貸住宅」である。
ファミリー向け6戸が入った3LDK棟が「ECO賃貸住宅」。太陽光パネルを設置し、ヒートポンプ式床暖房やオール電化を採用しており、CO2削減量は従来の賃貸住宅の水準を大幅に超えるレベルを達成 |
「この3LDK棟は、どこまで賃貸住宅がエコになれるかというコンセプトで施工した全国初の物件です。徹底したエコ設備で、CO2削減量は従来の賃貸住宅の水準を大幅に超えるレベルを達成しています」(企画提案と施工を担当した積水ハウス大阪シャーメゾン支店・井上壺年氏)
この物件には、最先端の環境設備が投入されている。太陽光パネルを設置し、余剰電力の売電システムを完備。また全戸にヒートポンプ式床暖房やオール電化を採用している。窓・床・天井の断熱も徹底し、住宅金融公庫が定める高密度高断熱住宅基準のⅠ地域(北海道)レベルの断熱性を実現。高気密性の室内での居住性を高めるため、自社製の24時間ハイブリッド換気システムも装備している。
「住宅におけるCO2排出の2大要因は、エアコンの室外機とガス給湯器です。給湯器のCO2排出は、オール電化によってクリアできます。また、エアコン利用の頻度と時間を抑えるために、室内の熱効率を極限まで高めています」(井上氏)