日本にカジノを創設するというアイデアが、いよいよ具体化しそうだ。カジノ解禁は安倍政権が成長戦略の1つに位置づけており、140議員による超党派議連であるIR議連(国際観光推進議員連名)の議員立法により、この秋にもカジノ法案が成立する可能性がある。早ければ同法成立後、数年の間に日本でカジノが実現すると見られているが、焦点となるのが日本におけるカジノの在り方だ。
大手広告代理店の電通は、いち早くカジノ解禁の動きに注目しており、9月中旬にカジノを中心としたIR(統合型観光リゾート)を考察する「IR導入フォーラム」(IR導入による観光と地域政策についての考察)を開催した。同フォーラムに参加するために来日し、スイスの観光戦略とカジノ合法化についてレクチャーをしたのが、スイスで最も高い評価を受けるグランカジノ・ルツェルングループのヴォルフガング・ブリームCEOである。2000年代初頭にカジノを解禁し観光活性化に成功したスイスに、日本は学ぶべきことが多いという。日本にとってカジノに参入する意味とは何なのか。日本にはどんなタイプのカジノが合うのだろうか。ブリームCEOに聞いた。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、協力/国際観光戦略研究所)
カジノ解禁に動き出した日本
そもそもカジノとはどんなところか
――今回の来日の目的は何ですか。
グランカジノ・ルツェルングループCEO。1963年生まれ。オーストリア出身。1985年、国際カジノオペレーターのカジノ・オーストリア入社。東欧および南米でのカジノ・マネージャー、同社東欧地域合弁会社責任者を歴任。その後、カジノ・オーストリア・リサーチ・アンド・ディベロップメント社でマーケティング・営業部長、国際顧客部長などを歴任。スイスのカジノ6軒の立ち上げの際にゲーミング関連課題に関して開発マネジャーを務める。2003年11月、グランカジノ・ルツェルングループCEOに迎えられ、現在に至る。ウィーン経済経営大学MBA取得。ネヴァダ大学ゲーミングマネジメント教育諮問委員会会員。
私は過去、スイスでカジノを6軒立ち上げた経験があり、現在はグランカジノ・ルツェルングループ(Grand Casino Luzern AG)を経営しています。これまでの私の経験やノウハウを、近い将来カジノの合法化が目されている日本の皆さんにもお伝えし、お役に立てればと思っています。
――日本でも、カジノ解禁の動きが出始めました。しかし、多くの日本人はカジノについて詳しく知りません。そもそもカジノには、どんな種類があるのでしょうか。
カジノには、大きく分けて米ラスベガス、マカオ、シンガポールなどに見られる大規模なカジノと、ヨーロッパに見られる比較的中規模なカジノの2種類があります。今、私が手がけているのは後者です。
――日本ではカジノと言うとギャンブルのイメージが強く、一般人には敷居が高いと思われがちです。カジノは日本に馴染むでしょうか。
一般的には、確かにイメージがよくないかもしれません。ご存知の通り、ラスベガスやマカオなどの大規模なカジノには派手なイメージがあります。