暴力団融資を隠し、金融庁に虚偽報告していたみずほ銀行は28日、事件の顛末を第三者委員会の報告書にまとめ金融庁に提出する。洗いざらい真実を明らかにし、失われた信用を取り戻す第一歩を踏み出せるか。ポイントは3つある。

①チェック体制はなぜ働かなかったのか。
②「担当役員止まりになっていた」というウソはいかにして生まれたのか。
③佐藤康博頭取の責任をどう考えるか。


 金融庁のみならず顧客や株主が納得できる説明が必要だ。

金融庁についたウソが
振るっている

 真っ先に問題になるのが「コンプライアンスの軽視」である。法務・内部監査という銀行の自己制御システムが働かなかった。

 金融庁についたウソが振るっている。情報を止めていた「担当役員」というのがコンプライアンス(法務)担当役員、とみずほは説明した。これは驚きだ。

 個人融資の現場を担当する役員が隠した、というならまだ話は分かる。恥ずかしいことに暴力団に融資していたことが後で分かった、取りはぐれても信販会社から回収できる、隠しておこう。そんな風に処理し、法務に伝えなかった、というならまだ納得がいくが、「コンプライアンス担当が隠す」という設定が理解不能だ。

 法務は役員だけではない。スタッフがいて、法律に触れる事案を指摘して是正させることは日常業務である。その法務が自分たちの仕事を自主的に止める、ということは組織の自殺行為だ。普通あり得ない。

 コンプライアンスが機能しないのは、その上にいる誰かが「この事案は手をつけなくていい」と指示(あるいは阿吽の呼吸による示唆)したか、よほどの事情があったとしか思えない。「法務担当役員が情報を止めた」という説明がもっともらしくなされた、ということは「法務なんてお飾りでしかない」という実態がみずほ銀行にあったからだろう。