米国の大手買収ファンドKKRが日本での投資活動を活発化している。その狙いと日本企業にとっての提携メリットを聞いた。
──今年9月、パナソニックのヘルスケア事業を約1650億円で買収することを決め、その事業の持ち株会社の株式8割をKKRが、2割をパナソニックが保有します。なぜこの投資を決めたのですか?
ヘルスケア事業はKKRがグローバルに注力している9事業のうちの一つです。そのノウハウとネットワークを生かせば、パナソニックの同事業を従来以上に成長させられる、特に海外でのビジネス拡大をてこに、グローバル・ヘルスケア企業にできると考えました。
100%子会社化ではなくパナソニックのブランドや知見を生かす共同事業にしたほうが、より確実に成長できると判断しました。
また、パナソニックとは、ヘルスケア事業を通じて信頼関係を深め、他の部門でもパートナーとしていろいろな事業機会を模索していきたいと考えています。
──日本での買収を積極化していく考えですか?
今年7月に、アジア向け投資を目的とした60億ドルのファンドを組成しました。アジア向け買収ファンドでは過去最大の規模です。投資先は案件次第ですが、投資家は日本への投資に期待しています。リーマンショック以降、日本への買収ファンド投資の収益率が最も高いという実績があるからです。“アベノミクス”で成長性も期待できるようになってきています。
──外資への拒否アレルギーは、日本では依然強くありませんか?
なくなったとはいえませんが、徐々に薄まっていることは確かです。今回、日本を代表する企業のパナソニックに外部資本の導入を決断いただいたことは、大きな変化の第一歩ではないかと思います。