プロ野球選手の明と暗が、残酷なほど明確に表れる季節がやってきた。
まず明。若手中心に編成された小久保ジャパンが台湾との強化試合で3戦全勝。上々のスタートを切った。投では広島に入団予定の大瀬良大地(九州共立大)をはじめ益田直也(千葉ロッテ)、井納翔一・三嶋一輝(DeNA)、松葉貴大(オリックス)、打では浅村栄斗・秋山翔吾(埼玉西武)、岡島豪郎(東北楽天)らが躍動。来季への手ごたえをつかんだはずだ。
東北楽天の日本シリーズ制覇に獅子奮迅の活躍を見せた田中将大は新ポスティングシステムが日米合意に至っていないため、念願のメジャー挑戦が暗礁に乗り上げているが、アメリカに行くにせよ日本に残るにせよ巨額の年俸を手にすることは確実。選手としては「我が世の春」といったところだろう。ボストン・レッドソックスのクローザーとしてワールドシリーズ制覇に貢献し、胴上げ投手にもなった上原浩治も同様だ。ドラフトで指名され、来季からプロになる選手たちも今はワクワクしているはずである。
現役続行か引退か
運命の分かれ道・トライアウト
一方、暗。10日には静岡・草薙球場で12球団合同トライアウトが行われた。各球団から戦力外通告を受け自由契約となった選手が実力をアピールする場だ。プロとしての生き残りをかけた実力テストを受けたのである。参加者は65人。プロ1球団分の選手がクビを切られ、無職の状態にあることになる。
参加者には、かつて一線級で活躍した選手も少なくない。投手では巨人時代に150キロ超の剛球を投げ、オリックスや東京ヤクルト、北海道日本ハムでも活躍、メジャーでも5年プレーした木田優夫(今季はBCリーグ・石川ミリオンスターズに在籍)、千葉ロッテ時代、先発三本柱の一角として05年の日本一に貢献した小林宏之、近鉄・オリックス・横浜などで先発を務めた左腕・山本省吾、捕手では早大時代に斎藤佑樹とバッテリーを組み、横浜入団後は1年目から1軍でプレーした細山田武史、内野手では東北楽天が弱かった頃から中心選手として活躍してきた高須洋介、外野手では阪神の外野のレギュラーだったこともある浅井良、林威助などだ。