今回は、25年近く人事に携わる人事コンサルタントの寺崎文勝氏(EYアドバイザリー株式会社)に取材を試みた。氏は組織・人事領域のコンサルタントとして、組織体制・人事制度・ 人材開発・役員報酬などのコンサルティングに関わっている。

 人事コンサルタントで、キャリア・実績の面で「一流」と言われているのは20~30人。中堅・大企業や外資系企業は、報酬が大きな額になるコンサルティングなどについて、この数十人に依頼することが多い。

 筆者は、ここ8~9年間、取材を通してこの数十人と一通り接点がある。印象で言えば、その大半が雇用問題の真相を正確に捉えている。企業社会を俯瞰で捉える目とローアングルで職場の実態を見据える目を兼ね備えているのが、特徴である。

 他の大勢の人事コンサルタントは、俯瞰の目があったとしても、ローアングルで捉えることができない傾向がある。日頃、経営側としか接点がないからだと思う。それでは、多くの会社員には遠い存在であり、コンサルの内容も無味乾燥なものになるだろう。

 そうした問題意識もあり、今回はこの数十人の1人である寺崎氏に取材をした。テーマは「職場で悶える社員はなぜ生まれるのか」だが、その背景について尋ねた。俯瞰とローアングルの双方の眼差しを、読者には感じ取ってほしい。


人事コンサルタントの寺崎文勝氏

「ノット・シンプル」の職場で求めらる
プレイングマネジャーのスーパーマン

筆者 今や多くの企業で、課長や部長、支店長などの管理職層にはプレイングマネジャーであることが求められていますね。プレイヤーをしつつ、部下の育成などを始め、マネジメントをしなければいけない。あれは、なかなか難しいことに見えます。