アベノミクスでバブルは再来するか?
バブルが簡単にできる「2つの要因」
「アベノミクスでバブルが再来するのか?」
最近、講演会のレセプションでこういうことをよく尋ねられる。そのとき、「バブルができるかどうかは今後の動向次第だが、少なくともアベノミクスはバブルをつくろうとする経済政策だ」と答えている。
アベノミクスの重要な政策の1つである“異次元の金融政策”が、その鍵を握っている。“異次元の金融政策”によって大量の資金が供給され、そのお金が株式や不動産市場に流れ込むと、株式や不動産の価格を高騰させることが考えられる。その意味では、アベノミクスは意図的にバブルをつくって景気を押し上げようとする政策と言える。
そもそもバブルとは、株式や不動産などの価格が理論的に正当化できないほど上昇してしまう現象だ。この定義を聞くと、バブルとはとても大変な現象のように感じるかもしれないが、バブルは我々の身の回りではよく起きる経済現象だ。つまり、特別なことではない。
わが国では1980年代後半、株式と不動産の価格が高騰し、大規模なバブルが発生した。わが国以外でも、1990年代後半、IT銘柄を中心に世界的な株式のバブルが発生した。その株式バブルは2000年に弾けたものの、その後投資資金が不動産市場に回り、大規模な不動産バブルが発生した。
世界的な不動産バブルの結果がサブプライム問題であり、それに続くリーマンショックだった。米国経済はようやくバブルの跡始末を終えたようだが、欧州経済は未だにバブルの後始末に苦しんでいる。
バブルは、時として意外に簡単にできるものである。バブルができるためには、2つの要因が不可欠だ。