トヨタ次期社長の近健太執行役員(右)と佐藤恒治社長 Photo:JIJI
トヨタ社長が異例の3年交代となった背景には、中国勢の電動車シフトとAI急成長のインパクトが想像以上に大きいことが挙げられる。トヨタとて全方位戦略で世界トップを維持するのは容易ではない。中国勢に負けず劣らず、研究開発と設備投資を推し進めるには、他社との連携が重要だ。目下、レアアースの中国依存も引き下げなければならない。これまで以上に、トヨタの事業戦略が日本経済の回復を左右するはずだ。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
トヨタ自動車の社長が3年で交代した理由
トヨタ自動車が突然の社長交代を発表した。4月1日付で近健太最高財務責任者(CFO)が社長に昇格する。佐藤恒治社長は副会長に就く。佐藤氏の社長任期はわずか3年だった。3年での社長交代は病気療養で退任した豊田達郎氏以来だ。
今回、数字とおカネに強く、しかもトヨタ内部を知り尽くした、財務の責任者の近氏を新社長に就けるという。そして副会長となる佐藤氏は、経団連の副会長と、日本自動車工業会(自工会)会長として自動車業界のまとめ役を担うことになる。
今回の社長交代について佐藤氏は「正直、短いと思う」とコメントした。短期間での社長交代に踏み切った背景には、何があるのか。まず、電気自動車(EV)分野をはじめ、中国勢の台頭が目覚ましい。さらに、ソフトウエアが自動車の価値を規定する時代も到来しつつある。
目まぐるしい環境変化の中で生き残ることは、世界トップのトヨタでさえ容易ではない。社長をはじめ経営陣も相応の覚悟が必要だ。具体的にはコスト削減、競合他社に負けない設備投資、そして米中などの政策リスクへの体制を整えることが重要だ。
トヨタは経済産業省とも連携し、わが国の自動車業界の合従連衡やアライアンス組成を主導することになるだろう。近・佐藤体制で、事業運営と自動車業界の役割を分担する。つまり今後トヨタは、これまで以上に日本経済に影響を与えることになるはずだ。今回の人事はその布石である。







