「電話会社」という看板を捨て、クラウドサービスで北米に挑む姿勢を明確にしたNTT(持ち株会社)。2020年に向け、ビジネスモデルは変化しそうだ。

NTT(日本電信電話)社長 鵜浦博夫 <br />BtoBビジネスへと転換し<br />企業を支える「黒子」になるPhoto by Toshiaki Usami

──中期経営戦略の進捗はいかがでしょうか。

 基本的に順調です。海外売上高200億ドル(2兆円)を目指すため、海外の企業買収を進めています。コスト削減についても、「3年間で4000億円以上」と申し上げましたが、1年半で全体の約7割まで到達しました。競争力を高めようと「5000億円の削減」へと引き上げたところです。

──東京五輪が開催される2020年に向け、「イノベーション」と「コラボレーション」の重要性を唱えました。革新的なサービスを他企業と連携することで実現しようというものですが、どのようなものでしょうか。

 東京五輪の開催が決まり、私は、「さあ大変だ」と思いました。各社がITを利用したさまざまなサービスを掲げ始めましたが、その通信サービスの運用はいったいどうなるのかと。期待感と共に、インフラを担う企業としての使命感や責任感が生まれました。

 そのころになれば、ITはさらに進化し、クラウドサービスはもっと安価で使いやすいものとなるでしょう。特に、企業が個人消費者を対象に行う「BtoC」のビジネスも大きく変わるはずです。

 そこでわれわれは、直接サービスを提供するのではなく、その環境を用意する立場を取るのです。これが「コラボレーション」の意味です。サービス提供者を支援する側に回って、「BtoB」のビジネスをする。必要であれば、競合事業者とも手を組むつもりです。